2020年7月25日土曜日

昨日は成田市の甚兵衛の森で朝4~6時に松くい虫防除の薬剤(スミパインMC)散布が行われ、その後朝9時から今年の春に枯死したマツ(NO.320)の伐根調査をしました。枯死マツの根系と隣接するマツの生木の根系をできるだけ傷つけないように、エアースコップを使って丁寧に掘り起こしました。除去した土を入れられる場所として、1.5m四方ぐらいの穴をユンボ(油圧ミニショベルカー)で掘削しましたが、1.4mぐらいの深さで地下水が漏出してきました。すぐ近くに印旛沼がありますし、元々地下水位がが高い場所だということがわかります。
結局、枯死マツの根株の根系は隣接するマツの生木2本の根系と重なり合っている(癒合しているか圧着している)ということが分かりました。それぞれの木の根の複数個所からポンチで材片を採取するか、細い根の場合はそのまま採取しました。NPO法人松くい虫の阿部 豊氏(樹木医)がDNA診断をしてマツノザイセンチュウ陽性かどうか調べる予定です。
ポンチで開けた穴は木粉ねんどで埋めて蓋をしました。

 







 











枯死マツを伐採した後の根株を掘り起こすために、チェーンソウで側根を切り落とし、直根を切断するのにずい分時間がかかりましたが、掘り起こした根株を縦に切断し、さらに年輪の中心点の位置で再度縦に切断して縦断面を観察できるようにしました。根株の輪切り面と縦断面を合わせて観察できる貴重な資料が得られました。
マツの種子が最初に発根・発芽したと思われる場所が観察できました。
また、根株を水平に輪切りにした切断面からは年輪が26本計測できましたが、年によって年輪の間隔が広くなっている部分がありました。スマホのアプリで方位を確認したところ、間隔が膨らんで生育がよかったのは南東、南、南西の方位でした。根株の北側には他のマツがありましたので、日蔭が被圧がなった影響かもしれないと想像しました。
青変菌も心材部分まで入り込んでいることもわかりました。






 

 









 
昨年殺線虫剤のネマバスター(有効成分ホスチアゼート30%)を根の周りに灌水処理して、樹冠部の濃度がどの程度になるか試験をしたマツは、昨年の試験実施時は松ぼっくりがたくさん付いていて元気がないように見えましたが、今年は針葉も密で元気がよくなっていました。
一方、今年の春枯死したマツに隣接する同じぐらいの樹齢のマツは松ぼっくりがたくさん付いていて、針葉も疎で元気がないように見えました。このマツの根のDNA診断でマツノザイセンチュウ陽性ということにでもなれば、殺線虫剤ネマバスターの土壌施用で治療効果があるかどうか試験することになるかもしれません。



マツノマダラカミキリ成虫が樹冠部の当年枝・1年枝の樹皮を後食してマツノザイセンチュウが樹体内に侵入するのは、殺虫剤の散布で防除できますが、隣接した枯死木の地下の根系からマツノザイセンチュウが侵入する場合は、浸透移行性の殺線虫剤の土壌施用など別の対策が必要ということになりますので、今回の調査がどういう結果になるかは重要です。
昨日は朝2時半に自宅を出発して、甚兵衛の森での作業が全部終わったのは夕方5時半頃でしたので、自宅に帰ったのは7時頃でした。体力的に78才の老体にはこたえましたので、今日は一日自宅で休息しました。