2020年4月20日月曜日

我が家の台所の食器乾燥用トレイにはいくつかの野菜(カイワレ、パプリカ、ジャガイモ、キュウリ、アスパラガス)が洗って置いてありました。多分、妻が夕食に使うか糠みそ漬けに使うのではないかと思いますが、見事な野菜です。こんな美味しくて、きれいで、衛生的(安全)な野菜を食べられる今の私たちは幸せです。


一昨昨日(4月17日)、オランダから突然メールが届きましたのですぐ返信をしておきました。今野充昭(のぶあき)氏は埼玉大学空手部の出身で、7年前の2013年にも一度メールをいただいて返信をしたことがあります。私は今野氏と直接お目にかかった記憶はありませんが、昔は埼玉大学空手部と千葉大学空手部は、玄和会玄制流空手の基幹道場的な役割を担っていましたので(今はどうなっているか離れてしまった私にはわかりませんが)、今野氏は玄和会があちこちに支部道場を開設していた時期にオランダに空手の指導に行って、そのまま滞在した方のようです。ネットで検索してみましたら、https://www.asahi.com/articles/ASJDH3J53JDHUTNB007.html 2020年の東京五輪に向けてオランダの空手選手団のコーチとして来日して、事前合宿をさいたま市で実施するアレンジなどの活動をされたようです。私もノースカロライナ州に在住して一生懸命空手の指導をしていた時代(特に1972年~1975年頃)には、州の空手(武道)連盟MAA(Martial Arts Association of North Carolina)を作って、空手をAAU(Amateur Athletic Union 全米体育協会)のメンバー競技にして、アメリカから空手をオリンピック種目にもっていくという活動をしていましたが、空手の世界から離れてもう何年も経過しましたので、そういうことにはすっかり浦島太郎のようになってしまいました。その点、今野氏は初志を貫徹してオランダ玄制流師範として生涯を空手に捧げておられるようでりっぱです。
新型コロナウイルス問題で東京オリンピック2020開催が1年延期されたことで、今野氏がアレンジされたオランダ選手団のさいたま市での事前合宿の計画が先延ばしになってしまったということのようです。
それにしても、私自身がすっかり忘れていた54年前に書いた拙文を見つけていただいてありがたいことです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2020.4.17
今野充昭様 
懐かしいメールをありがとうございました。オランダに永住されているのですね。私はオランダには昔千葉大学教授時代に一度だけ訪問したことがあります。当時の私は農薬(殺虫剤)の抵抗性のメカニズムについて研究していましたが、オランダの殺虫剤研究所のDr. Oppenorthという人が同じ分野で先駆的な研究をしていましたので、彼の研究所を見学して、彼の自宅に泊めてもらって、楽しい時間を過ごしました。私より10年ぐらい年長でしたので多分もう亡くなった筈です。
私が54年前に書いた「空手を学ぶ思想的背景 名古屋支部長 教導 本山直樹」を見つけて下さったとのこと、私は千葉大学を卒業して名古屋大学大学院に進学して、修士課程2年と博士課程1年半(その後アメリカのノースカロライナ州立大学Ph.D課程に留学)の計3年半を名古屋で暮らして、名古屋大学の空手同好会と玄和会の支部道場で空手の指導をしていましたので、その頃に玄和会の機関誌に投稿した文章ではないかと想像します。何を書いたのか内容については全く覚えていませんが、若気の至りで、題からして大仰で、恥ずかしくて顏から汗が噴き出る思いです。
2008年に千葉大学教授を65才で定年退職後、東京農業大学で5年間客員教授をして70才で定年退任後は勤務先はありませんが、東京農業大学総合研究所研究会農薬部会長として東京農業大学で2ケ月に1回の頻度で農薬に関するセミナーや特別講演を企画・実施しています。その他に農薬政策研究会という個人研究会を立ち上げて業界その他から研究費を受け入れて、松くい虫防除で航空散布された農薬の飛散調査や周辺住民に対する健康影響評価のような調査・研究を共同研究者たちと一緒にやっています。後は年に10回程度、全国各地で農薬の役割と安全性に関する消費者対象の講演をしたり、林業関係者を対象に松くい虫防除に関する講演をしたりしています。
6月には78才という年齢になりましたので、フルマラソンを走るのはもう無理になり、1年に1回横浜駅伝大会で千葉大学走友会(教職員とそのOBのクラブ)のメンバーとして最短の3km区間を走るのがやっとです。今でも時間のある時は近くの江戸川の堤防に行って2~3時間ウォーキング/ジョギングをして足腰と心肺機能の衰えを防ぐ努力をしていますが、この頃はすぐ息が切れるようになりましたので、ウォーキングがほとんどになりました。空手も時間のある時は千葉大学園芸学部の道場で1時間ぐらい一人で基本の稽古と巻き藁叩き・サンドバッグ蹴り・筋力トレーニングをしていますが、現在はコロナウイルス問題で大学閉鎖状態ですので、たまに自宅で空手着に着替えて体を少し動かす程度です。
アメリカには今でも毎年10月に古巣のノースカロライナ州に1ケ月滞在して、1969年以来の空手の弟子/友人たちや昔の研究者仲間たちを訪ねたりして旧交を温めています。
こちらの近況ばかり書きましたが、今野さんはオランダで東京オリンピック2020の空手に関わる仕事をしておられたのですか。1年延期というのは、どの種目の選手や役員にとっても、予定が狂って大変なことと想像します。日本では種目によっては出場選手を決める予選をやり直すことを考えているようです。
新型コロナウイルス(Covit-19)問題は、当初の予想をはるかに超えて第3次世界大戦((人類対ウイルス)の様子になってきました。日本でも毎日感染者数と致死者数の発表がされていますが、まだまだ収束の兆しは見えていません。日本では3密(密閉空間で密集状態で密接な接触をする)状態を避けることが感染予防になるとして奨励されています。政府から緊急事態宣言が全国の都道府県に対して発出され、不要不急の外出を避けるようにと要請されています。幸い、私と妻も、東京在住の息子も、カリフォルニア州在住の娘の家族も、今までのところ感染を免れています。ニュースでは、アメリカが最悪になり、ヨーロッパもイタリア、スペインでの被害が多く、その他の国々に感染拡大が起こっているようですので、今野さんもどうぞ十分お気を付け下さい。
懐かしいメールをありがとうございました。
本山直樹
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
送信日時: 2020/4/17, 金, 16:51件名: お元気のことと存じます。
本山様
前代未聞の毎日が続いていますが、その後お変わりなくお過ごしでしょうか?
こちらは変わらず元気にしております。
下記のうれしいメールを戴いてから、もう7年も過ぎています。
この度「空手を学ぶ思想的背景・名古屋支部長 教導 本山直樹」という54年前の文章と出会う機会がありメールさせて戴いております。
下記メールを戴いた同じ年の9月7日に「東京オリンピック」がブエノスアイレスで決まりました。この7日の前後に10日間程ブエノスアイレスに滞在していた時の時間はとても貴重なものでした。同日夜には祝勝会→二次会もあって安倍首相はじめ多くの関係者の方々と沢山乾杯したことも良い思い出です。
そして、2016年8月4日には「空手→オリンピック」が正式決定しました。
今年7月末から8月上旬での東京オリンピックに関係して忙しく動いていた段階で新型コロナウイルスの感染が始まってオリンピックが1年延期されたことが決まったことから、急に空白的な時間ができたこの段階で読ませた戴いた文章に感激しております。このコロナは何となく長丁場になる気がしておりますが、人類が一丸となってこのコロナウイルスに向っていけるか、そして、その結果も含めて、神様が「東京オリンピック」を実施されるかどうかも決められるのだと感じております。
日本はオランダの約8倍の人口ですので感染拡大が始まってしまえば急に進む可能性も否定できませんので、どうか十分お気を付けてお元気で!
54年前の文章をどうもありがとうございました。
今野 拝
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2013.1.6
今野 充昭様
明けましておめでとうございます。オランダに約37年も滞在しておられるとはすごいですね。もしかしたらそちらの女性と結婚されて、ご家族もいらっしゃるのですか。
私は大学紛争の真っただ中の1969年に名古屋大学大学院博士課程2年を休学してアメリカのノースカロライナ州立大学のPh.D課程に留学して、そのまま約10年向こうの大学に勤務していました。私の場合は日本で結婚して、家族と一緒に向こうで暮らしていて、空手の道場もやっていました。本当はそのまま永住したかったのですが、ベトナム戦争の真っ最中で永久ビザの申請が却下されて日本に帰国せざるを得なくなってしまいました。
それはさておき、千葉大学空手部の部誌に寄稿した拙文が今野さんの目に留まったとは驚きました。私は1961年(昭和36年)3月に浦和高校を卒業し、一浪して1966年に千葉大学に入学しました。当時の埼玉大学の空手部では土屋さん(関甲信の空手の合宿に一緒に参加したこともあります)と同期です。埼玉大学の空手部では少し上の宇田川さん、鹿山さんや、もう少し上の石川さん、もっと上の岩谷さんのことはよく知っています。
ご覧になった拙文の事はもう忘れていましたので、パソコンに保存されている古いドキュメントを探してみたら、該当する原稿が3点見つかりましたので添付します。創部50周年記念の部誌には、部長(顧問教官)としての挨拶文の他に、添付の「私の過ごした時代の空手部とその後の経験」という拙文を寄稿しました。ところが、後者の拙文の前半部分(空手部の指導者をめぐる内紛についての記述)が当時の千葉大学空手部の指導陣(〇〇 〇監督、現在玄和会会長?)にとって具合が悪いということで削除されて、後半部分だけが掲載されました。私は紙数が超過したので削除されたと信じて、翌年発行の部誌16号に部長退任にあたっての挨拶(遺言)として前半部分だけを再度寄稿したのですが、再度没にされ、不掲載にされた本当の理由が初めてわかった次第です。
日本の空手の指導者たちは、いつまでも自分の流派の優越性の主張や組織の維持にばかりとらわれて、玄和会の指導者もその中の一部になっているのは残念なことです。ましてやそのために、大学の課外活動教育の一環であるべき空手部を私物化しているのはとんでもないことです。韓国のテコンドー(元々は日本の空手)は韓国政府のナショナリズムの流れで先にオリンピック種目になりましたが、日本の空手がここまで世界から取り残されそうになっているのは、空手界の指導者たちの視野の狭さに原因があると思っています。
そんなことを言っても私ももう70才で、たまに一人で稽古をする以外、この数年千葉大学空手部に顔を出すのも止めています。アメリカ滞在中の10年間に指導した2000人を超える空手の弟子たちとの出会いは私にとって貴重な財産ですし、今も年に一度はノースカロライナ州を訪ねてその中の何人かと旧交を温めています。
パソコンに保存されている古いドキュメントを探していたら、私が5年前に65才で千葉大学を定年退職する時に同窓会報に依頼されて書いた拙文がもう一点見つかりましたので、ついでに添付します。日本の大学制度が危機に瀕していることを訴えたものですが、ご笑覧下さい。
長々と書きましたが、拙文に目を留めていただきありがとうございました。今野さんの益々のご活躍をお祈り致します。
本山直樹 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・