午前1時に妻が起してくれて、熱いコーヒーと簡単にトーストとミルクをかけたコーンフレークを食べて、予想外の事故があっても大丈夫なように早目に2時に自宅を出発しました。まだ真っ暗で途中走っている車も少なく、甚兵衛の森には予定よりも30分早く午前3時頃到着しました。
表側の国道464号に面したところと、裏側の民家に面したところに、周辺住民に薬剤散布を告知する看板が立ててありました。飛散(気中濃度と落下量)を調査する小型ポンプとろ紙を散布松林の4方向の隣接地点に設置し、気象(風向・風速・気温・湿度)観測装置を地点1に設置し、散布最中の周辺住民の立ち入りを規制する三角コーンを並べて連結したりして、実際の高所作業車の上からの散布は午前4時から始まりました。今年第1回目の散布では、有機リン殺虫剤のスミパインMC(有効成分フェニトロチオン23.5%)の50倍希釈液を1,000ℓ散布しました。1ケ所の散布が済むと、高所作業車と薬液タンクと動力ポンプを積んだ小型トラックの位置を変えて、甚兵衛の森を守る会の中心メンバーで造園業/樹木医/松保護士のY氏とI氏が交代で散布をしました。上向きに散布をする時は顔面への暴露を少なくするためにビニール傘を頭上に広げて散布をしていました。
散布は約2時間かかり、午前6時頃終わりました。4地点からカートリッジを回収して個別にジッパー付きのプラスチックバックに入れ、ろ紙はコンタミが起こらないようにピンセットで慎重に回収してガラスの円筒に入れました。落下量は従来のようにろ紙をガラスのシャーレに入れて林床部に置くのではなく、今年からは化学分析コンサルタントがやっている小型ポンプと同じ高さの台に2枚ずつ置くという方法を採用しました。回収した試料は凍らせた保冷剤を入れたアイスボックスの中に保管しました。薬剤の分析は化学分析コンサルタントで行いますが、高所作業車の上から散布した薬剤が隣接した周辺環境にどの程度飛散しているか、結果が楽しみです。
化学分析コンサルタントのAさんはいつもは実験室内で農薬の分析が仕事ですが、分析試料が収集される現場を視察に来られるとのことでしたので、保護具着用についてメールを送っておきましたら、しっかり準備をしてきて飛散調査作業に従事してくれました。
散布をしている時はこの森を縄張りにしているのか、ハシボソガラスが林内の避雷針の天辺に留まって監視していました。何年か前に松枯れで枯死して伐倒した老マツの切り株には珍しい黄色の菌が発生していました。今年枯死した1本の若いマツはすでに伐倒されて切り株だけが残っていました。隣接木を根系感染させる可能性がありますので、近日中に抜根する筈です。
林床のクローバー(シロツメクサ)が繁茂しているところでは、ヤセウツボが生育していました。海外からの侵入植物で、クローバーと共生することが知られているとのことでしたのでネットで検索してみました。何と、宇都宮大学雑草科学研究センターの米山弘一教授の学会賞受賞論文が見つかりhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jpestics/35/3/35_35.355/_pdf 、ヤセウツボは根寄生植物とのことで、すでに詳しい研究が行われていました。
作業終了後は甚兵衛の森の真ん前のコンビニで弁当と飲み物を買ってきて、林内の東屋(あずまや)で全員8人で食べ、午前7時には解散しました。Y氏とI氏はもう1ケ所府馬の大楠(おおくす)で薬剤散布をするために移動し、その他はそれぞれの方向に向かいました。
私が通る国道464号沿いには見渡す限り水田が広がっている場所があり、田植えされた稲の苗はしっかり活着していました。自動販売機が置いてある道路沿いには色とりどりの花が植栽されていました。