2020年7月18日土曜日

園芸学部研究圃場のツバキの葉のチャドクガの卵塊とすぐ側にある食害痕と関係があるかどうかが気になって、今日も観察に行ってきました。
まだ卵塊だけがある葉と、卵塊と食害痕の両方がある葉(一番多い)と、食害痕だけがある葉と、卵塊と孵化幼虫の両方がいる葉と、食害痕と幼虫がいる葉と、幼虫だけがいる葉がありました。
従って、卵塊から孵化した幼虫は表皮の下に潜って食害し、少し大きくなったら移動して葉面に出て集合し、葉の表面と裏面から並んで食害し始めるという私の想像は可能だなと思いました。しかし、葉に残っている食害痕が本当に孵化したての若齢幼虫が潜った(天敵を避けるためと表皮の下の柔らかい組織を摂食するため)痕跡かどうかは、実際に潜っている時に解剖して確認するか、誰か詳しい人に訊いてみないとわかりません。別の害虫の食害痕がチャドクガの卵塊とたまたま同じ葉に存在しただけの可能性もありますので。
近くのチャノキにもチャドクガ幼虫が発生して、応用昆虫学研究室の野村昌史教授が殺虫剤をスプレーして防除しましたが、一部かけ斑(むら)で生き残った幼虫が羽化して産卵しましたが、ツバキの場合と同様に葉に食害痕があり、1枚の葉には卵塊と孵化幼虫の両方がいました。
私が研究圃場のツバキの葉をチャドクガの若齢幼虫が食害しているのに気がついたのは5月12日でしたが、その時はすでにある程度の大きさになっていましたので、卵塊から孵化したのは多分それより1週間ぐらい前の5月5日ぐらいだった筈です。
大きくなった幼虫をたくさん最後に見たのは6月7日(6月20日にも1頭だけ見た)でした。
成虫を多数見たのは6月28日(6月27日にも1頭だけ見た)でした。
卵塊を多数見たのは7月10日で、孵化幼虫を多数見たのは今日7月18日でした。
幼虫 5月5日(推定)~6月7日
蛹 6月8日~6月27日
交尾・産卵 6月28日~7月10日
卵 7月10日~7月17日
これから計算すると、幼虫期間は約34日、蛹期間は約20日、成虫の交尾・産卵期間は約13日、卵から幼虫孵化までの期間は約8日で、合計すると約75日となります。
各ステージごとの正確な発育期間は、丁寧に観察できる実験室内で飼育してみないとわかりませんが、もし私の野外での観察が大体合っているとすると、チャドクガというのは1世代経過するのに約2ケ月半もかかるということになります。

 







 













小雨が降っていたせいか、今日もツバキにはカタツムリが何頭か来ていました。
園芸学部構内のいたるところに「猫の餌やり禁止」の掲示がありますが、学生寮(浩気寮)の壁に貼ってある掲示の前に誰かが置いた弁当箱があって、すぐ近くに猫がちょこんと座っていました。近所の住民が人道的(動物愛護)見地から餌を置いていくのでしょうが、まるでいたちごっこのようで、すでに退職して責任のない立場からは若干滑稽に見えます。
「関係者以外は立ち入り禁止」の掲示と同様に掲示自体が見苦しいので、効果のない掲示をいつまでも放置せずに、何か有効な対策を考えるべきだと思いますが・・。国民の税金で成り立っている国立大学法人ですから、教育・研究に支障のない範囲で地域住民(国民)に開かれた大学を目指すのがあるべき姿の筈です。