2020年11月17日火曜日

今日の研修会は吉羽雅昭先生の12月1日に施行予定の肥料取締法(今後は肥料法と改称)改正に関する講演から始まりました。 吉羽先生は元々土壌肥料学が専門の研究者ですから、基礎的なところから大変詳しく解説されました。面白かったのは、無農薬防除 資材の場合と同様に事業体(販売業者)が虚偽の宣伝をする場合があるということでした。一番大きな問題は、先生が問題提起されたように、 申請された資材について有機JAS適合かどうか判断する時に、原材料や製造工程には問題がなくても、含有成分から考えて 宣伝に謳っているような効果・効能があるとは思えない場合にどう対応すべきかということでした。私自身は有機JAS資材評価協議会の 防除資材分野の顧問というだけの立場で、決定に参加することはできませんが、科学的に判断して資材が謳っているような効果・効能は あり得ない場合、有機適合の認定をしてしまうと、そのような資材を買わされる有機農業実践農家が被害を被ることになるので、安全面 だけでなく、審査では安全性面だけでなく効果・効能についてもある程度考慮すべきという意見を述べました。参加していた検査員・判定員 の方々からは、有機JAS規格に適合かどうかだけを判断するべきとの反対の意見が出されました。できるだけ多くの資材を提供することが 有機農業を支援することになるとの考えかもしれませんが、私は逆に、農家が有機適合のお墨付きをもらった効果・効能のない資材を 買わされるという意味では、結局有機農業の足を引っ張ることになるという考えです。 吉羽先生は午後からの研修で、事例検証についても紹介されました。
高島 賢氏は育種について、従来の育種方法と最新の遺伝子組換えとゲノム編集による育種方法についてわかり易く解説され、私に とっても大変勉強になりました。
加藤和男氏が紹介したニームオイルに関する農水省の見解も、私にとっては大変今日意味深い情報でした。防除資材としてのニームには 農薬が混入されている事例がありましたが、肥料や土壌改良資材の分野でもニームを混合する事業体(販売業者)があるらしく、農水省 は異物混入にあたるとして明確に否定していました。