3月30日にも振り込まれた方がおられるらしく、今朝郵貯銀行に寄って確認したら現在高は206,000円になっていましたので、今日全額を払い出して菅野弁護士に届けました。
3月16日に予定されていた公判前整理手続きについては、前日の15日に連絡があって裁判所のエレベーターがストップしているので中止(階段を歩いて移動すると報道陣にさらされるので)となりましたが、実際には16日に本人の出席なしに裁判官、検察官、弁護人だけで打ち合わせは実施されたとのことです。3月29日に再度、裁判官、検察官、弁護人と法廷通訳(女性)が出席して打ち合わせが行われ、実質的には整理手続きが終わり、7月第1週から始まる公判の日程が全て確定したそうですが、形式的には4月19日に予定されている公判前整理手続き最終回の後で一般には公表されるということになりました。法廷通訳が出席したのは、今回はイギリス人の被害者(遺族)参加があるので日本語は英語に、英語は日本語に通訳するためだそうです。そのために審理期間が通常の2倍とってあるのだそうです。公判における審理には、リンゼイさんと英語学校NOVAで同僚教師でかつ同じアパートに住んでいたカナダ人のニコルさんも、検察側証人として出席するそうです。
公判には80人くらいの傍聴が可能なようですが、メディア関係者が席を確保するためにアルバイトを雇ったりするので厳しい競争になることが予想されるようです。私も証人として出席する時以外は、たとえ希望しても抽選に当たらなければ出席できませんし、市橋君のご両親には家族枠があるそうですが、一貫して裁判には関わらないという姿勢を貫いておられるので恐らく出席されないだろうとのことです。従って、被害者遺族として来日されるリンゼイさんのご両親と市橋君のご両親が、公判の前にも後にも直接顔を合わせて言葉を交わす機会もないだろうとのことです。私としては残念な気がします。
最近よく報道される冤罪事件では、検察側が自分たちの見立てに不都合な証拠は隠蔽して提出しないという傾向があると指摘されていますが(最近の例では厚生労働省の村木厚子元局長の冤罪事件)、裁判員制度の導入に合わせて検察側が持っている証拠に対する開示要求がかなり広い範囲で認められるようになったので(まだ全面的ではない)、市橋君の場合も弁護側の要求がかなり認められて、パソコンに残っていたメールのやりとりや、検察側が証拠として採用しなかった調書なども証拠開示されることになったようです。
以前、市橋君がリンゼイさんのご両親宛に謝罪文を書いた時は、代理人弁護士が受け取りを拒否しましたが、手記出版の印税収入を被害者弁償として提供したいという申し入れ書については、代理人弁護士が受け取って被害者遺族に届けたという返事がきているそうです。被害者遺族が受け取るかどうかの返事はまだのようですが。市橋君自身は、もし被害者遺族への弁償金を受け取ってもらえない時は、今度の震災被害者の救済に寄付をしたいと言っているそうです。
接見禁止中の差し入れについては、次の決定がされていて、2ケ月毎に更新されているとのことです。
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接見等禁止決定
被告人 市橋 達也
被告人に対する死体遺棄被告事件について, 刑事訴訟法81条に掲げる理由があるものと認め, 検察官の請求により, 被告人と同法39条1項に規定する者(ただし, 下記のものを除く。)との接見及び文書(新聞, 雑誌及び書籍を含む。)の授受を第一回公判期日までの間禁止する。記
1 ・・・
2 ・・・
平成21年12月2日
千葉地方裁判所 裁判官・・・
裁判所書記官・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・従来は現金の他に、差し入れ人が匿名を希望しない限り差し入れ人の名前とともに、下着や着替えなどの衣類が大量に差し入れされ、独居房に保管できない分は一定分量までは刑務所が保管したり、菅野弁護士の事務所にも保管されているそうですが、本人が確認のサインをしていたので、本人は社会には自分のことを心配してくれている人たちがいることをその都度認知できていたそうです。それが、市橋君の手記が出版された1月25日以降は差し入れがパッタリ届かなくなったそうです。上記の接見禁止決定文章から明らかなように、文書以外の差し入れは禁止されていない(食べ物については刑務所内の売店で購入できる物に限定)筈です。手記の出版も法律違反ではないにもかかわらず、刑務所側にとっては全く把握していない寝耳に水のことだったらしく、そのために被告人と弁護人の間でやりとりされる文書のチェックを担当していた刑務官の失態が上層部から厳しく叱声されたらしく、その腹いせに市橋君に嫌がらせをしている可能性があるとのことです。
2月に弁護団が訴訟関係書類と一緒に手記の書評を同封して市橋君宛に郵送したところ、訴訟関係書類は即座に配達されたにもかかわらず、手記の書評だけは6日後くらいに遅れて配達されたそうです。被告人(現状は未決なので推定無罪の筈)の罪を裁くのは裁判所の役割で、刑務所の役割ではない筈なのに、弁護団が被告人に送った書類を刑務官がこのように選別した扱いをすることは、刑事収容施設法第135条で中身の審査をしてはいけないと規定されていて、許されない行為の可能性があります。そこで、1月25日以降に差し入れをした人は本当に全くいなかったのか、あるいは刑務所が自分たちの知らないところで手記が出版されたことに対する嫌がらせとして差し入れされた物をストップして本人に配達していないのかが問題になります。メディアだけでなく、国家公務員の刑務官までもが本来の役割の範疇(はんちゅう)を越えて、弱い立場の市橋君にこのような差別的な扱いをすることがあるのだとすれば、許されることではありません。
もし、1月25日以降に市橋君に差し入れをした方がおられましたら、何月何日に何を差し入れされたか、至急私宛にご連絡下さい。連絡先は: n3motoya@gmail.com です。もちろん、皆様のプライバシーは絶対に守ります。来たるべき公判に向き合うために心の準備をしなければならない市橋君が、こんなことで心をわずらわされてイライラするのは馬鹿げたことです。市橋君も、震災で大勢の人々が苦しんでいる時に、差し入れされる物が欲しくてこんなことにこだわっているのではないことを支援者の皆様にも知ってほしいとのことです。刑務官の個人的な感情で不当に差別をされることが納得できないのでしょう。
山本弁護士によると、市橋君は刑務所の中でも自分を律したストイック(克己主義者のような)な生活をしているようで、毎日腕立て伏せ300回、腹筋運動300回などを欠かさず実行しているとのことです。また、気持ちを静めるために山本弁護士が助言したように、刑務所内の売店でスケッチブックと水性ボールペンを購入して、すでに60枚~90枚くらいの絵を描いてこれが精神安定上大いに役に立っているとのことです。描き終わった絵の多くは、宅下げされて弁護団の一人秋元弁護士(3月17日のブログで言及した布川事件の弁護も担当)のところにあるそうです。いずれは、これらの絵もどこかの出版社が出版の興味を示してくれるかもしれません。その収入は被害者遺族への弁償の原資にもなりますし、受け取りを拒否されれば震災被害者への寄付のように、市橋君が刑務所の中にいて社会貢献できるひとつの方法にもなります。
市橋君は定時に流されるラジオのニュースを耳にすることができるので、東日本で大地震が起こったことは知っていましたが、新聞は購読可能ですが購読していないので被災地の悲惨な写真や、世界中の人が繰り返しテレビで見た津波で建物や車が流される恐ろしい映像は見ていないので、どれくらい大きな被害がでたかについては、接見した弁護士の説明で初めて実感したようです。
菅野弁護士事務所では私の訪問の後に弁護団会議が予定されていたらしく、集まってきた秋元弁護士や坂口弁護士とも初めてお目にかかることができました。これで弁護団全員とお会いしたことになります。
卒業論文は今日次の順番の方に料金(640円)受取人払いの宅急便で発送しました。私のジョギングは時間がなかったので、今日は弁護士事務所に出かける前に4km しか走れませんでした。