2018年5月28日月曜日

羽田行きの飛行機は夕方遅い便を予約してありましたので、7月の農薬シンポジウムの世話人をしているT氏の案内で秋田県庁や、秋田県農業研修センター・病害虫防除所を訪ねて、松林保全担当者や病害虫防除担当者に挨拶しました。
秋田市の海岸の松林の状態も視察してきました。比較的若いマツの木が植栽されていましたが、古い松枯れも1本放置されていました。







水田は耕地整理されて1ha(100×100m)か2ha(100×200m)の広い規格のものがたくさんあり、ちょうどリモコンで走る小型モーターボート(ホバークラフト型)を使って除草剤施用をしているところを観察することができました。
最近はよっぽど小さな規格の水田以外は水田の中を歩いて除草剤を手で散布するということはあまりないのでしょうが、畔を歩きながらジャンボ粒剤を投げ込んだり、額縁散布をしたり、水口施用をする場合、藻が発生して水面を覆っていたり、表層剥離した土壌が浮いていたりすると除草剤の濃度が不均一になって十分な雑草防除困難になります。その点、リモコンで走る小型モーターボートは広い水田内を縦横無尽に走らせることができますので、作業が簡単なだけでなく、水を撹拌して除草剤濃度を均一化もできて、これから普及していく可能性が高い有望な技術だなと思いました。
たまたま作業をしていた人は請負業者で、1ha千円で受注して除草剤施用作業をしているとのことでした。農家人口の高齢化という実情にも対応しているなと思いました。










2018年5月27日日曜日

農薬学会大会3日目(最終日)は、午前中に一般講演、昼休みにランチョンセミナー、午後はシンポジウム2がありました。
私は、ランチョンセミナーはダウ・アグロサイエンス日本株式会社のIsocrastTM(有効成分sulfoxaflor)という同社が開発した殺虫剤に関する説明の会場に行きました。この殺虫剤は、ネオニコチノイド剤と同様にnAChR(ニコチン性アセチルコリン受容体)に結合することから反農薬活動家グループがネオニコチノイド剤と一緒に禁止活動の対象にしている殺虫剤です。
説明では、nAChRに結合するといってもIARCの分類ではネオニコチノイド剤とは別のグループに分類されている、ネオニコチノイド剤を代謝するモノオキシゲナーゼによる代謝を受けない、ネオニコチノイド剤と交差抵抗性がない、ということからネオニコチノイド剤とは異なる独自の殺虫剤であるということを強調していました。
ネオニコチノイド剤の間でもミツバチに対する毒性その他の性質が異なりますので、ネオニコチノイド剤を一括りにしたり、nAChRと結合する殺虫剤を一括りにして禁止活動の対象にするというのは、全く科学的ではありません。









午後からのシンポジウム2「先端技術と農薬の未来像」では5題の講演があり、いずれも最先端の研究分野の紹介でしたが、すでに現役を引退して何年も経過した私にはまぶしいような羨ましいような気がしました。






学会終了後は、共同研究者の株式会社化学分析コンサルタントの阿部智早絵さんと一緒に夕食を食べましたが、まだ明るかったので、その前に千秋公園内を少し散歩しました。昔よく聞いた「赤い靴を履いてた女の子」の歌の女の子(金子ハツ)の銅像が立っていて、実は明治20年(1887年)に秋田県の女性刑務所で産まれた子供をアメリカ人の若い女性宣教師が養女にしたという説明が書いてありました。飛行機も新幹線もなかったそんな時代に、今よりももっと田舎だった筈の秋田県にアメリカから若い女性宣教師がキリスト教の布教に来たのですから、すごいなと思いました。しかもアメリカに連れて帰って大学にも行かせ、最後は人種差別のないハワイに一緒に移住したのですから、女の子にとってはどんなにかありがたいことだったろうと想像しました。単なる人道主義を超えて、キリスト教の愛の行為だったのでしょう。



 
飲食街がある秋田市の川反(かわばた)すずらん通りを歩いていたら、秋田料理「ちゃわん屋」の看板の上に東京農業大学のスクールカラーの緑色の幕が飾ってある店がありましたので入ってみました。何と女将(おかみ)は東京農業大学栄養学科の20年前の卒業生でした。ご主人も同じ栄養学科卒業の先輩でボディビルディング部の創立者だとのことでした。しかも、今の理事長の大澤貫寿先生の奥様と同級生だったとのこと。私は5年前までは東京農業大学の客員教授をしていたことを紹介し、美味しい地酒と料理を味わいながらすっかり盛り上がりました。










2018年5月26日土曜日

農薬学会大会2日目は秋田県立大学で行われ、午前中に一般講演、昼休みにランチョンセミナー、午後前半は一般講演、午後後半はシンポジウム1というプログラムでした。私たちの発表は午後前半に2題続けて配置されていて、無事終わりました。共同研究者の阿部智早絵さんは、学会発表は初めての経験だと言っていましたが、練習してきただけあって時間内にしっかり発表していました。
ランチョンセミナーは3つ企画されていて、いずれも面白そうでしたが、私はエンヴィーゴ株式会社のUse of Plant Protection Products and Protection of Human Healt- Risk Assessment Approaches for Worker, Bystanders, Residents and Children(植物保護剤の使用と人の健康保護-作業者、住民、子供に対するリスク評価のアプローチ)に参加しました。暴露をDietary(食品摂取経由)とNon Duetary(非食品摂取経由)に分け、後者についてはOperator(散布者)、Worker(作業者)、Resident(住民)、Bystander(傍観者)に分けて暴露評価とリスク評価の仕方を説明していました。
散布者の経皮吸収の説明で使ったスライドに、田植え後の水田の中を歩きながら除草剤を手で撒いている女性の後ろ姿の写真がありましたが、よくこんな写真が撮れたものだと感心しました。今は、額縁散布をしたり、水口(みなくち)施用をしたり、ジャンボ粒剤を投げ込んだりの方が多くなって、農村に行っても水田の中を歩きながら手散布をする姿はめったに見なくなった筈です。













ホテルに帰るとお祭りをやっていて、地域ごとのいろいろな山車(だし)が出ていて、大勢の人々が通りを埋めていました。JAの直売所にも寄ってみました。新鮮な農産物が並べてあり、秋田県らしい素敵なポスターも貼ってありました。