2012年12月25日火曜日

今日は私が注目したニュースが2件ありました。1つは、法務省の調査では服役中に性犯罪者向けの抑止講座を受けた性犯罪者が出所後に再び性犯罪を犯す割合が2割低下したというニュースです。新聞報道(朝日新聞12月25日夕刊)によると、「プログラムは2004年に起きた奈良女児殺害事件をきっかけに、欧米の実践例を参考にして06年から導入。刑務所では3~8ケ月聞かせて、性犯罪者同士の話し合いを通じて感情をコントロールする方法などを身につけさせる内容だ。」 リンゼイさんの事件が起こったのと同じ頃、千葉大学園芸学部の女子学生が殺害されるというもう一つの事件がありましたが、この犯人も性犯罪を繰り返して仮出所したばかりの男性でした。「文藝春秋」の記事がきっかけで、服役している北海道の刑務所から私に手紙をくれた男性もインターネットで調べてみたら性犯罪を繰り返している人で、結局自分は一種の病気だということに気がついて、精神的な治療の必要性を訴えていました。
被害者の感情を考えると難しい面もあるでしょうが、アメリカでも日本でも犯罪者の再犯率が高いということは、服役させることで自由を奪って苦しみを与えて罪を償わせる以外に、出所後に普通の生活に戻れるようにきちんとした治療や教育を受けさせることの重要性を示しているのではないでしょうか。

もう1つは、広島での被爆体験を元にした漫画「はだしのゲン」の作者中沢啓治さんが肺がんのために73才で亡くなったというニュースです。この漫画は10ケ国語以上に翻訳され、世界の多くの人々に原子爆弾の悲惨さを伝えました。私のアメリカ人の空手の弟子/友人のMargie さんが来日した時も、英訳された「はだしのゲン」を見たことがきっかけで広島を見たいと言ったので、原爆ドームと平和記念資料館につれて行きました。戦争体験者がだんだん少なくなっていく中で、私たちはいつか来た道に再び戻ることがないように、勇気をもって発言したいものです。

「女性自身」という週刊誌の1月1日号の表紙には、『「発達障害児」急増!の裏には農薬汚染食品が・・・』という見出しが載っていましたので一冊買ってみました。この記事の内容には全く科学的根拠がなく、いくら販売部数を増やすためとはいえ、よくこんな無責任な記事が書けるものだとこの雑誌の良識を疑いました。せっかく買ったのでついでにページをめくってみたら、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(90才)の、今の政治状況は太平洋戦争へと突き進んでいった戦前の日本の政治状況とそっくりで危険を感じるという趣旨の談話が載っていました。そんな大事な発言をしても、政治家の勇ましい発言や俳優やタレントやスポーツ選手のゴシップ記事にばかり気をとられて、ほとんど社会の注目を集めないところが怖い状況だなと感じました。