2013年7月31日水曜日

東京農業大学総合研究所研究会第32回総会が世田谷キャンパスの東京農業大学グリーンアカデミーホールでありました。研究会には23の部会がありますが、私はその中の農薬部会の現在の会長ですので、理事会、総会、特別講演、懇親会の全部に出席しました。総会では、長年にわたって総合研究所の発展と農薬部会長として研究会活動に貢献された山本 出先生が表彰され、研究会会長の槍田松瑩(うつだしょうほう)氏(三井物産株式会社取締役会長)から表彰状が授与されました。

特別講演は久保田紀久枝先生(お茶の水女子大学教授として長年食品の香りの研究をされて、本年3月の定年後東京農業大学教授に就任)が「食べ物のおいしさと香りの科学」という演題で、大変興味深いお話をされました。香りが味と密接な関係があることの簡単な証明として、コーヒーキャンディーを出席者に1個ずつ配って実験をされました。先ず鼻を指でつまんでキャンディーを口に入れて舌で舐めて味を感じ、その後指を離してコーヒーの香りを嗅ぐと、確かにキャンディーの甘い味や塩味がパーッと口の中一杯に広がり、香りが味を引き立てるということが理屈なしに実感できました。


2013年7月30日火曜日

熱中症注意報が出された蒸し暑い日でしたが、昼休みにいつものように江戸川堤防を2時間歩いてきました。
今日は東京湾(下流)に向かって右岸を下って、東京都葛飾区柴又から河川敷(と言ってもきれいに芝が植えてある広々とした運動場)に下りて矢切の渡しを見に行きました。ちょうど反対側の松戸市矢切から男性の乗客1人を乗せて漕ぎ出したところでした。柴又側に着いたら、船は待っていた中年の女性5人を乗せて引き返しました。矢切側の船着き場には茶店がありますが、柴又側には小さな渡船橋と「矢切の渡し」の歌碑があるだけです。
歌碑には、作詞:石本美由紀、作曲:船村 徹、歌:細川たかし、と彫ってあり、お馴染みの歌詞「つれて逃げてよ・・」「ついておいでよ・・」が書いてありました。今から30年ちょっと前の昭和57年(1982年)にできた歌のようですが、ちあきなおみや細川たかしが歌って大ヒットしたおかげで有名になり、歌詞のように親にそむいて恋に生きる気分を味わうためか今でも観光客が訪れるので、乗船料一人200円で渡し船を営業しているようです。
現職を退いて時間の余裕ができましたので、こうして運動を兼ねて歩き回ると、近くにも結構面白いところがあることに気がつきます。



2013年7月29日月曜日

共著者から指摘されたことなどを考慮して、原稿の最終版を仕上げて先ほど「林業と薬剤」の編集担当者に宅ファイル便で発送しました。これで一段落です。

先週雨で中止した三保の松原の視察・調査は8月1日~2日に延期しましたが、今のところ天気予報は晴れのようですので、今度は松原全体をゆっくり歩いて調査ができそうですので楽しみです。
今日は小雨でしたが、傘を差しながら江戸川堤防をゆっくり2時間歩いてきました。上流での大雨の影響は消えて、水かさは通常に戻っていました。

8月6日の日本経済新聞からの取材を受ける準備として、「ミツバチとネオニコチノイド」問題に関する論文を読んだり、資料を集めて論点整理などをしています。
その次は、9月4日~5日に岩手県盛岡市で予定されている松林防除実践講座での特別講演「防除をしているのに松枯れが防げないのは何故か(仮題)」の準備です。今日、松保護士の資格を持っている知人から電話があって、その方も講座に出席するので翌日9月6日に東京農業大学の卒業生がやっている岩手県の牧場を見学に行こうと誘われましたので、一泊余計に泊まって、レンタカーを借りて一緒に行くことにしました。
9月は11日~12日に高知県での消費者対象の農薬ゼミもあります。

2013年7月28日日曜日

陽射しが強かったので今日は水元公園の桜堤(さくらつづみ)を2時間歩いてきました。途中、栗や柿や無花果(イチジク)や夏ミカンの木があって、まだ青い若々しい果実がなっていました。
水元公園にはいろいろな水生植物がありますが,ハス(大賀ハス?)の桃色の花がたくさん咲いていました。ここには絶滅危惧種のアサザやオニバスもありますし、珍しいチョウトンボもいます。
昨日、江戸川の上流地域では大雨が降ったらしく、増水した流れにごみと一緒に家みたいなものが流されていたのでよく見たら、屋形船のようでした。今日は日曜日なので、釣りを楽しんでいる人もいました。

       (写真はクリックすると拡大できます)



2013年7月27日土曜日

山口県と島根県の一部では「経験したことのない大雨」で、川が増水して住宅地が浸水したりがけ崩れが起こって大きな被害がでている映像をテレビのニュースが伝えています。松戸の辺りも大雨が予告されていましたので、その前に江戸川堤防を2時間歩いてきました。

島根県出雲市の裏の北山山系は、有人ヘリコプタ-による薬剤散布が中止に追い込まれてから松くい虫の激害で松がほとんど枯れてしまいましたので、この大雨で崖崩れが起きないか気になります。万が一住宅が押し潰されて大勢の人命が失われるようなことになったら、薬剤散布を中止に追い込んだ農薬反対活動家グループの人達はどう責任をとるのでしょうか

2013年7月26日金曜日

原稿が仕上がったので、図表・写真と一緒に共著者に送って加筆訂正を依頼しました。早速一人から検討事項の指摘が届きました。複数の人に見てもらうと、自分一人では気が付かないことを指摘してもらえるので内容がずっとよくなります。

夕方の時間でしたが長期入院している親友/元同僚教授をお見舞いに行ってきました。ちょうど夕食時間でしたので、介護士が車椅子に乗せて食堂につれて行って夕食を食べさせようとしているところでした。小さな湯呑2杯分くらいの流動食を水飲みに入れて、口に流し込むのですが、気道に入ってしまうのかむせって可哀想なようでした。本当は時間をかけてゆっくり飲み込ませればいいのでしょうが、大勢の患者の介護を決められた時間内に終わらせなければいけないのでしょうから、つい急がせてしまうようです。

病室に戻ってからは、千葉大学園芸学部を卒業してから群馬県庁に勤務し、今年農業総合研究センター所長を定年退職した元学生からの挨拶状を見せながら、お互いが現職時代の研究室の思い出話をしました。今日書きあがったばかりの私の原稿も持っていって、見せながら今私がどいう研究に取り組んでいるか話をしました。一言も言葉は返ってきませんが、彼の頭の中では何らかの刺激を与えているのではと想像します。
お見舞いが終わって自宅に向かって車を運転していたら、奥様から電話があって、ちょっとの行き違いで今病院に着いたところですとのことでした。

2013年7月25日木曜日

今日も原稿書きに集中しましたが、途中江戸川の堤防を2時間程歩いてきました。カメラを持って行ったので写真も何枚か撮ってきました。今はあちこちで木槿(むくげ)の花を見ることができますが、色や形に変異があって毎年のことですが感心してしまいます。マテバシイもまだ緑色のドングリをたくさんつけていました。江戸川では、鵜(う)と亀が並んで日光浴をしていました。
そういえば、昨日歩いた時は堤防の上に大きな亀が上ってきていて水への方向を見失っているように見えましたので、川べりまで両手でかかえていって水に帰してやりました。その時にふっと浦島太郎の話が頭に浮かんだことを思い出しました。




2013年7月24日水曜日

三保の松原に行くのが8月1日に延期になったので、今月末が締め切りの原稿書きの時間ができました。小雨の時に江戸川の堤防を傘を差しながら2時間歩いてきた以外は、一日中机に向かって集中して取り組めました。「松くい虫防除で散布された薬剤の飛散と健康影響(5)-無人ヘリでスミパインMCが散布された松林に立ち入った場合の暴露量-」というタイトルの解説文で、一連のシリーズの第5報目です。大分進みましたので、多分明日には一応原稿ができて、共著者に送って加筆訂正してもらえば、月末には編集担当者に送れると思います。

2013年7月23日火曜日

明日と明後日は一泊二日で静岡県の三保の松原の松枯れ状況の調査に行く予定でしたが、あいにく天気予報では雨天になってしまいましたので、8月1日~2日に延期しました。

日本経済新聞社から電話があり、「ミツバチとネオニコチノイド」の問題について8月末の日曜日の科学欄に特集記事を掲載予定なので私のところにも取材に来たいとの申し込みでした。科学的に正確な情報を提供するよい機会ですので、8月6日に取材を受けることにしました。

田んぼの様子が気になってちょっと郊外にドライブしてみたら、濃緑色の稲から穂が出始めていました。稲の生長過程の穂孕み(ほばらみ)期というのでしょうが、この時期はカメムシ類が膨(ふく)らんだ穂に口針を刺し込んで吸汁しますので(そうすると収穫の時に斑点米という品質の悪いお米になる)、ヘリコプターを使って殺虫剤・殺菌剤を散布してカメムシ防除と紋枯れ病・イモチ病の同時防除をします。写真の田んぼも、7月24日と25日に農薬散布予定という看板が立っていました。


2013年7月22日月曜日

6月8日から夏休みを利用してカリフォルニア州のサンタモニカから来日し、我が家に5週間滞在していた娘と孫3人は7月15日に帰国しました。10才、8才、6才の孫たちはあっという間に体験入学していた日本の学校に慣れて、友達もたくさんできて、最後の日にはそれぞれ級友たちから寄せ書きをもらっていい思い出になりました。

明後日24日は2人の研究者仲間と一緒に一泊二日で三保松原の視察に行く予定です。ゆっくり歩いて松枯れの状況などを詳しく調査してくるつもりです。せっかく富士山とセットで世界文化遺産に登録されましたので、これ以上松くい虫被害で松が枯れるのを防ぐ方法を考案して提言したいと思っています。松戸から私の車を運転して行きますが、カーナビで調べたら片道約3時間のドライブのようです。
静岡県在住の「市橋達也君の更生を支援する会」の支援者お二人にお話したら、私たちが宿泊するホテルのある清水駅まで来て下さるとのことですので、24日の夕方は調査が終わった後でどこか駅の近くでお会いして一緒に夕食をいただきながらお話をすることになりました。


2013年7月7日日曜日

このところ忙しくて長い間ジョギングをサボッていたら、昨夜と一昨夜は夜中に寝ている間に足が何回も攣(つ)って、起きて歩き回って痙攣(けいれん)が治まるのを待ちました。今日は昼間は真夏日なみの猛暑でしたが、思い切ってランニングウェアに着替えて江戸川堤防に走りに出かけました。頬や肩に心地よい風を感じながら、汗をビッショリかきながら14Kmを歩いたり走ったりするのは気分爽快でした。

5日の講演では松くい虫問題がメインテーマでしたが、6月22日に世界文化遺産に登録されたばかりの静岡県の三保の松原を6月27日に視察してきたことについても少し紹介しました。羽衣(はごろも)の松の周辺はまだ大きな松が何本も残っていましたが(殺線虫剤の樹幹注入で)、日本平の上から俯瞰した三保の松原全体は松くい虫被害で松が点と線しか残っていない歯抜け状態のところもありました。枯れて伐倒駆除した本数は、有人ヘリコプターで有機リン殺虫剤のスミパインを散布していた2005年までは年に152本程度に抑えられていたのが、ネオニコチノイド剤の年1回の地上散布に切り替えてから駆除本数は急増し、昨年20012年は年810本でしたから、今のままの防除方法を続けていけばいずれ三保の松原の松は消滅する可能性があると感じました。せっかく世界文化遺産に認められたのに、松が松くい虫で全滅して登録を取り消されるようなことになったら恥ずかしい限りです。

7月3日の朝日新聞には枯れた羽衣の松を伐採する作業が始まったことを伝えていました。樹齢650年と言われてきたそうですが、伐採した後で切り株の年輪を数えれば実際の樹齢が確認できる筈です。静岡市清水区役所の担当者は羽衣の松が何故枯れたのかは専門でないので答えられないと言っていましたが、マツノマダラカミキリ成虫の羽化脱出痕(丸い穴)がないかどうかだけも調べてくれればいいなと思っています。

      (写真はクリックすると拡大できます)
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2013年7月6日土曜日

昨日の講演会には報道関係者以外にも、千葉大学の古い卒業生や、林野庁関係者や、森林総合研究所で松くい虫防除の研究を担当してこられたOBの方々も参加しておられ、久し振りにご挨拶できました。一部の報道関係者からは、講演の内容をどこか学会誌に掲載してもらえないかと要望されました。今は時間の余裕がないので、後半の15分くらいでカバーしたミツバチのCCD(蜂群崩壊症候群)とネオニコチノイド剤との関係の部分についてだけ、使用したスライドと講演テキストをこのブログに紹介しておきます。短い時間で準備をしたので、金沢大学の先生方が実験に用いた薬剤濃度についてだけ検証してあります。市橋君の更生を支援する会の活動とは無関係ですが、私がどういうことに関わっているか興味のある方は目を通してみて下さい。
    (スライドはクリックすると拡大できます)
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講演テキスト
農薬工業会第10回報道関係者との情報交歓会(2013.7.5 丸ビル)
CCD(蜂群崩壊症候群)とネオニコチノイド剤との関係は証明されたか?
本山直樹
スライドNO.
1.    臨床環境医学会という学会のシンポジウムで金沢大学の山田敏郎教授らのグループが発表した「ジノテフランとクロチアニジンの蜂群に及ぼす影響」という研究が社会的におおきな注目を集めて、最近参議院環境委員会と衆議院環境委員会でもネオニコチノイド系殺虫剤がミツバチに与える影響について国会議員による質問が行われた。
この研究論文には、千葉大学時代の私の研究室の卒業生の岩佐君が何年も前にアメリカの大学に留学中に行った研究で、私も共著者の一人として学会誌に投稿・掲載された論文が引用されている。
2.    CCDは英語のColony Collapse Disorderの略で、日本語では蜂群崩壊症候群と呼ばれる。
何かの原因でミツバチが大量死する事故とは異なり、餌・幼虫・女王蜂が残っているにも関わらず働き蜂が行方不明になって社会性昆虫のミツバチの群(コロニー)が崩壊する現象で、アメリカやヨーロッパで発生。
実は過去(例えば1896年)にも同様な現象があったという報告がある。
原因についてはアメリカやヨーロッパで盛んに研究が行われた。ここに挙げたようないろいろな要因が疑われ、ネオニコチノイド系殺虫剤も要因の一つとして疑われているが、今のところまだ定説はない。
3.    山田教授らの研究で使われたジノテフラン、クロチアニジンというのは、現在農薬登録されているネオニコチノイド系殺虫剤7剤の中の2つ。
イミダクロプリドと同様にミツバチに毒性が高い5剤の中に含まれる。
ネオニコチノイド剤の中には、アセタミプリドやチアクロプリドにようにミツバチに対して毒性の低いものもある。
これらのネオニコチノイド剤は、各種作物の各種害虫の防除に使われ、作物保護に重要な貢献をしている。
4.    山田教授らの研究では、これら2つの殺虫剤の実用散布液濃度を100倍(低濃度)、50倍(中濃度)、10倍(高濃度)希釈した濃度になるように餌に混入してミツバチの巣箱の中に置いて長期間自由に摂取させた。
高濃度区では急性毒性の影響が短期間で発現したが、低濃度区では徐々に蜂数が減少し、約3ケ月後にコロニーは消滅した。
餌の減少量からミツバチが摂取した殺虫剤の量を計算すると、岩佐君らの報告したこれらの殺虫剤の経皮毒性の量とほぼ同じ範囲であった。
これらの結果から、山田教授らは低濃度のネオニコチノイド剤がCCDを通して蜂群崩壊をもたらすことを世界で初めて明らかにしたと考察した。
5.    ネオニコチノイド系殺虫剤7剤の物理化学性の一覧表。
有機リン殺虫剤のフェニトロチオンと比較すると、ネオニコチノイド剤は①蒸気圧が低いので大気中に揮発しにくい、②水溶性が高い、③水-オクタノール分配係数に違いもあるので、個々のネオニコチノイド剤によって作用性の違いもある。
6.    ネオニコチノイド剤の日本国内での過去5年間の原体出荷量を見ると、約450tで推移しているが、ジノテフランとクロチアニジンがトップ2。だから、山田教授らの実験ではこの2つの殺虫剤を選んだのかもしれない。
7.    ネオニコチノイド剤のラットとミツバチに対する経口毒性と経皮毒性の一覧表。
ラットは哺乳動物の代表としてよく毒性試験に用いられるが、先ず経皮毒性についてみるとネオニコチノイド剤はいずれも2,000mg/kg以上で非常に安全性が高い。経口毒性については剤によって異なるが、原体のLD5050mg~300mg/kgの劇物に入るのはアセタミプリドだけで、他は全ていわゆる普通物相当。クロチアニジンとジノテフランはいずれも5,000mg/kg以上で、哺乳動物に対して特に毒性が低い。
一方ミツバチに対しては、一般にアセタミプリドとチアクロプリドは毒性が低いが、その他は毒性が高い。経皮毒性に複数の値があるのは、引用した文献によって値が異なるからで、*のついているのは私も共著者の岩佐君らの論文で報告されている値である。
クロチアニジンの経口毒性は3.79ng/bee、ジノテフランの経口毒性は23ng/beeまたは14ng/beeという値が報告されている。
8.    クロチアニジンを水田のカメムシ防除に使う時は、有効成分16%4,000倍希釈液が60150/10a散布される。水田の水深が5cm、散布液はイネに捕捉さえずに全て田面水に落下すると仮定して算出した散布直後の水中濃度は、0.0480.12ppmになる。
一方、山田教授らの実験で餌に混入してミツバチに連続的に摂取させた濃度は0.44ppmだから、田面水中の理論的予測濃度より10倍くらい高いことになる。
9.    同様にジノテフランについて検証してみると、水中濃度0.120.3ppmに比べて、山田教授らが実験に用いた濃度110ppm10倍くらい高いことになる。
10. ミツバチ1頭当り一日当りの採餌(糖)量は外勤の働き蜂の場合は32.128128mgとされているので、平均80mgとして、山田教授らの実験で餌に混ぜて与えた濃度からミツバチの摂取量を計算してみると、ジノテフランは32ng/bee/dayとなり、クロチアニジンは80ng/bee/dayとなる。
これらは、クロチアニジンの急性経口毒性値の3.79ng/bee、ジノテフランの急性経口毒性値14ng/bee又は23ng/beeよりも高い。
すなわち、山田教授らの実験では、両方の薬剤とも急性経口毒性の致死薬量を長期間投与し続けたということになり、ミツバチが全滅したのは当然である。ネオニコチノイド剤がCCDを起こすことを明らかにしたという考察には無理がある。
11. 玉川大学のミツバチ研究所の先生たちも、日本ではCCDが起こっていることは証明されていないという見解だと伺ったが、農水省生産局畜産部が公表している日本でのみつばち飼養ほう群数の統計をみると、約20万弱で安定していて過去10年間減少していないことが明らか。
むしろみつ源面積が、30年近く前の1985年には35ha以上あったのが、2010年には15ha以下と急激に減少していることが今後養蜂業にとっては深刻な問題になるのではと想像される。
12. 殺虫剤は作物生産を損なう害虫を防除するために開発された薬剤なので、ミツバチを含めて害虫以外の昆虫に影響を与えることは当然予想される。
人間が病気の時に使う医薬と同じように、作物を病害虫から守るために使う農薬も、副作用が起こらないように適正に使うことが大事。
これは、ジノテフランに添付されている注意書きであるが、ミツバチに対する毒性が高いからといって使用禁止にするのではなく、使用者の注意を喚起し、場合によっては養蜂業者とも連絡を密にしてミツバチへの危害を防ぐようにするべき。
13. 余計なスライドかもしれないが、自動車のリスクを考えてみると、私たちが赤信号で信号待ちをしている前を通過する自動車の排気ガスには多くの健康リスクがある。しかも2012年の統計をみると、年間に66万件の交通事故があり、負傷者数は82万人、死者も4千人を超えていて、実際に自動車による危害は起こっている。
しかし、自動車の持っている便益性を考慮して、自動車を禁止するのではなく、運転者に安全運転マナーを徹底したり、歩行者にも交通ルールを守るように教育したりして、事故発生を減らす努力をする。
ネオニコチノイド剤とミツバチの関係も同じような気がする。
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2013年7月4日木曜日

    

このところ超多忙でブログの記事の更新ができなかったら、心配して下さった支援者からお便りが届きました。
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うっとうしい日が続いていますが、お元気ですか?
長い事ブログの更新がないのでお身体の調子がよくないかと心配してます。

本山:6月の超多忙スケジュールは何とかこなしましたが、まだ明日5日のマスコミ関係者との情報交換会での講演が残っていて、その準備で追われています。当初は松くい虫問題についてだけ講演をする予定でその準備はできたのですが、急にミツバチ問題についてもコメントしてほしいと依頼されて、その情報収集や講演スライドの作成に追われました。今日の午後やっと出来上がってスライドを送りましたので、今床屋に行って散髪をしてもらってサッパリしたところです。明日の講演が終われば、時間のゆとりができる筈です。
三保の松原が富士山とセットで世界文化遺産に登録されましたので、6月26日に急遽松原の状況を視察に行ってきました。本当はその機会に静岡駅で○○様・○○様にお会いしたかったのですが、天気の具合を見ながら急に決まったので連絡が間に合いませんでした。代わりに元静岡県柑橘試験場勤務の知人のF博士が車で案内してくれました。今日の新聞に枯れてずい分経つ初代の羽衣の松を伐倒するという記事が載っていましたが、それ以外にも昨年だけでも松くい虫で枯れた松を800本も伐倒駆除しています。このままいくといずれ松は消滅しかねませんので、世界遺産を守るためにこれからよっぽどしっかり松くい虫防除をやっていかないと駄目な状況でした。
先日は、「市橋達也君の更生を支援する会」の所在地について訂正した規約のコピーをありがとうございました。
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