2014年3月29日土曜日

昨日のニュースは新聞もテレビも袴田事件の犯人とされ死刑が確定して48年間服役していた袴田 巌(はかまだいわお)氏が、静岡地裁での再審を認める決定によって釈放されたことを大きく報道しました。1966年に静岡県清水市で起きた一家殺人事件の犯人と認定した血染めの着衣の血液が最新のDNA鑑定技術で、袴田氏のものと異なることが証明されたとのこと。捜査機関(警察)が袴田氏を犯人に仕立て上げるために証拠を捏造した疑いがあるとのこと。そんなことが日本で起こり得るとは、信じられない思いです。当時30才だった袴田氏はすでに78才になり、人生の大半を無実の罪で獄中で過ごしたことになります。何と残酷で、無念なことでしょう。時間は取り戻せないので、もう取り返しはつきませんが、二度とこんなことがないように関係者は慎重な上にも慎重に犯罪捜査にあたっていただきたいと思います。それにしても、身内が凶悪犯罪の犯人とされて社会から冷たい目で見られながらも弟の無罪を信じて再審請求活動をしてきた姉の袴田ひで子氏(81才)の信念には頭が下がります。また、最初の裁判に関わった3人の裁判官の中の一人は、有罪判決に疑念を抱きつつも2人の先輩裁判官の多数意見に従わざるを得なかったことを後悔し、その後の再審請求活動を支援してきたと報道されていました。当時の司法制度の慣習の中で、若手の裁判官が年長の先輩裁判官と異なる意見を主張するのは難しいという状況があったのかもしれません。この方がその後反省して再審請求活動を支援してくれたことは、良心の存在を信じさせてくれる一つの救いです。
袴田氏は死刑と隣り合わせの長い獄中生活の影響で精神的にも大きな影響を受けているらしいとのことですが、親代わりの役を果たしてきたお姉さんの愛情に支えられて自分自身を取戻し、残りの人生を精一杯生きていただきたいと思います。

市橋君の事件は性質が異なりますが、服役中もできる範囲で生きがいを見つけて、許される範囲で前向きに生きてほしいと祈っています。30年後にもし仮釈放が認められることがあるとしたら、私はもうこの世にはいない筈ですが、それから後の人生をしっかり生きてほしいと願っています。