2017年4月30日日曜日

千葉大学園芸学部の卒業生で成田市で造園業をやっている樹木医の吉岡賢人君を中心とした甚兵衛の森を守る会が朝9時に集合して調査を実施する予定になっていましたので、私も朝7時頃自宅を出発して車で現地に向かいました。高速道路(京葉道路・東関東自動車道)を避けて、一般道(国道464号)を使いましたが、幸い渋滞もなく現地には8時半頃着きました。私を含めて11名とスプリンクラーの試験だけ手伝いにきてくれた2名の計13人が集まりました。


ここには樹齢約300年のクロマツの老大木がまだ8本残っていますが、公園の縁(へり)の道路に接した部分の草が枯れているのがちょっと気になりました。市の委託で公園の管理をしている業者が除草剤を散布しているかもしれないからです。マツの老大木の株元の草もしっかり枯れていましたので、除草剤の種類によってはマツにも影響がでるかもしれませんので、今度市役所に確認してみようということになりました。




昨年6月に地元の造園業者がスミパイン乳剤を3回散布する作業を視察した結果、樹高約25mの樹幹部に薬液が届いていないことがわかりましたので、今年は散布方法を改善することが必要ということになり、吉岡君が1本の老大木に登ってスプリンクラーを2台設置してくれていました。試しに動力ポンプとホースを接続して水を散布してみたところ、1台は動きましたが、もう1台の方は動きませんでした。約25mの高さに水を送るには水圧で水漏れをしないようにホースの接続部分のウォッシャーを変える必要性など、いくつか問題があることがわかりました。それと、樹冠部の新梢には薬液がかかっても、下枝の新梢には十分量かからないという別の問題もあることがわかりました。
私は15mの高所作業車の作業箱に乗せてもらいましたが、風が強かったせいか作業箱自体がゆらゆら揺れて、多少足がすくみました。




 
 





今日の2番目の作業は、道路と反対側の縁に植栽してある樹齢20年の若いマツ2本(NO.18とNO.19)の枯死原因を調査することでした。伐採して、後食痕や、産卵口、フラス、穿入孔の有無などを丁寧に調べました。
昨年の9月に衰弱が見られて11月には枯死したNO.18には後食痕と産卵口とフラスが観察され、実際に多数のマツノマダラカミキリの蛹と幼虫が存在しましたが、今年の2月頃枯死したNO.19からはこれらは観察されませんでした。両方ともすでにDNA診断でマツノザイセンチュウ陽性であることは確認されています。従って、NO.18は近隣の枯死マツから羽化脱出して飛来したマツノマダラカミキリが後食して感染したことが推察されるのに対して、NO.19はいわゆる「年越し枯れ」で衰弱枯死した時にはマツノマダラカミキリはいない時期だったか、あるいはNO.18と隣接しているので根系癒合でマツノザイセンチュウが移動してきた可能性が推察されます。この点については、次回の調査でNO.18とNO.19の根系をエアースコップで掘って露出してみれば判断できるかもしれません。
なお、NO.18の樹皮を剥いでいる時に、マツノマダラカミキリの蛹室と思われる場所に真っ赤で毒々しいボクトウガの幼虫が見つかりました。マツノマダラカミキリの幼虫や蛹を捕食しているのかもしれません。











 


今日の3番目の作業として、枯死伐採したマツの根株の近くにシロアリトラップを設置し、さらにクロマツの苗木を2本植樹しました。枯死伐採したマツの根株はシロアリの餌になりますが、元気のよい生きているクロマツの苗木の根もシロアリの食害を受けるかどうか確認するためです。
さらに、4番目の作業として、甚兵衛の森の土壌の状態をチェックする方法の1つとして、2mの深さまで鉄パイプを打ち込んで土壌サンプルを深度別に採取しました。ジビリジル反応で酸素欠乏を示す還元状態になっているかどうかを簡易検定してみることが目的です。
http://www.hamc.or.jp/TOPTEST/06_dojodanmen.pdf#search=%27%E3%82%B8%E3%83%93%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%AB%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%9C%9F%E5%A3%8C%E8%A8%BA%E6%96%AD%27
甚兵衛の森のある場所は、ある時期は印旛沼の一部だった筈ですし、もっと前には海の底だった時代もある筈ですので、それぞれ色も組成も臭いも異なるサンプルが得られました。





今日の作業の5番目は、吉岡君の自宅の庭に設置した網室に昨年クロマツの大苗2鉢を設置し、クロカミキリ成虫を各120頭ずつ放飼しましたので、その影響を観察して確認することでした。DNA診断で苗Aはマツノザイセンチュウ陽性、苗Bは陰性だったことがわかっています。クロカミキリ成虫放飼前は両方とも陰性でした。
苗Aの新葉は緑色でしたが、あきらかに衰弱していて新梢も出ていませんでした。一方苗Bの新葉は褐色ですでに枯死状態でした。わずか2例で、次回の調査で根系の調査をしてみないと確かなことはわかりませんが、少なくともマツノマダラカミキリのいない状況下で、クロカミキリ成虫の放飼でマツ苗が衰弱・枯死し、その中の1本はマツノザイセンチュウ陽性になったということは事実ですので、クロカミキリ成虫がマツノザイセンチュウ感染を媒介したり、幼虫による根の食害が枯死に関与している可能性が推察されます。
次回は本当は5月に一度集まれればよかったのですが、皆の都合を合わせた結果、6月24日(土)か25日(日)に集まって調査をすることになりました。





2017年4月29日土曜日

今日も気持のよい晴天でしたので、江戸川堤防で坂道トレーニングを3往復してから、水元公園Bブロックに行って3時間10分ウォーキング/ジョギングをしてきました。
園芸学部構内には緑色の普通のイロハモミジの他に、最初に赤色の葉が出てくるイロハモミジ(赤葉)がありますが、不思議なことにこの赤葉は段々褪色して緑色の葉に変わってきます。一方、水元公園Bブロックにある赤色のイロハモミジは別名タカオモミジと言うらしく、葉の色は赤いままで変わりません。

百周年記念戸定ケ丘ホールの前の3本の大銀杏(イチョウ)とその両側に立っているモミジバフウの大木は日に日に緑色が濃くなってきています。生協横のシダレカツラの緑色もすっかり濃くなってきました。
事務管理棟の前の庭の縁には巨大な石が配置してあり、移管記念と右から左に彫ってありますので、昔千葉県立から国立に移管された時の記念かもしれません。それにしても当時こんな巨大な石をどこから運んできたのか・・。










葛飾大橋を渡って金町側の江戸川堤防は、不要になった樋管の撤去工事がまだ続いていますが、堤防の一部区間を完全に撤去してしまいました。これから堤防を再建するのでしょうが、建設業の技術は大したものです。
江戸川堤防から水元公園に続く桜土手の桜並木はすっかり葉桜になって、桜の葉のトンネルのようです。
途中の民家には白い花の藤の木がありました。
公園にはハンノキがありました。
葛飾橋を渡って松戸側に帰ってきましたが、江戸川に設置してあった生簀が別の場所に移動になっていました。捕獲した稚鮎を出荷するのかもしれません。季節がどんどん動いている感じです。

明日は成田市の甚兵衛の森で樹木医が集まって松枯れの調査をするのに参加しますので、朝早く自宅を出て車で現地に向かいます。