東京農業大学世田谷キャンパスで第115回農薬部会セミナーがあり、2題の講演がありました。
1. 「トマトの原種、野生種トマトの保有する様々な機能性と、その利用の可能性について」 田渕俊人氏(玉川大学農学部先端職能学科園芸植物学分野教授)
2. 「ゲノム編集技術による品種改良-可能性と利用のルール-」 笠井美恵子氏(千葉大学環境健康フィールド科学センター特任教授)
両方の講演とも直接農薬とは関わらない内容でしたが、作物保護への利用の可能性を示唆した大変興味深い内容でした。
トマトは野菜の生産量として世界で一番だということは知りませんでした。遺伝資源の海外持ち出しの規制がほとんどなかった30年ぐらい前に、田渕先生が南米のペルーに行って採集してきたトマトの多数の野生種は多様な性質を持つ貴重な遺伝資源で、継代栽培して種子を保存しているそうですが、今では原産地でも絶滅したものも含まれるそうです。直径1cm程度の小粒のトマトや、果色が紫色のトマトや、実に興味深い講演でした。ただ、現在では共同研究をしようとすると、多くの規制をクリアする手続きが煩雑で困るとのことでした。
笠井先生のゲノム編集に関する講演は、人口増加に伴う食料危機に対してゲノム編集技術は大いに貢献できる可能性を示唆しましたが、一番の問題はいかにして消費者の理解を得るかが問題だとの指摘でした。そのために、筑波大学の江面 浩教授を代表幹事とする「ゲノム編集育種を考えるネットワーク」が設立されて、いろいろな啓蒙活動がされているようでした。
講演終了後はいつものように学内の施設で講師を囲んでの懇親会があり、参加者(農薬部会員)と講師の交流を深めました。その後、山本 出先生のご自宅で再度講師お二人を囲んで少人数の二次会がありました。
二次会に参加された元理化学研究所主任研究員/元日本農薬学会長の山口 勇博士が、ご自宅の庭にあるポウポウの木から台風で落下した果実を持参して皆に分けてくれました。私も1個もらってきました。果皮が黒くなったら食べ頃だとのことですので楽しみです。多分、マンゴウに似た熱帯の果実ではないかと想像しています。