2010年7月23日金曜日

 さらに2名の方から支援金を振り込んだというメールでのご連絡をいただきました。

今日も関東地方は猛暑でしたが、日本法中毒学会の大会に出かけてきました。会員のほとんどは、大学医学部の法医学教室か国の科学警察研究所(いわゆる科警研)か各道府県警察の科学捜査研究所(いわゆる科捜研)の研究者でした。麻薬や毒物に関する研究や、死亡原因の解明に関する研究発表が多く、そのような学会に参加するのは初めてでしたので私にとっては新鮮でした。

 千葉県科捜研の科長の講演は、千葉県で輸入冷凍餃子を食べて中毒事件が起こった時にどうやってメタミドホスが混入されていることを最初に突き止めたかを明らかにしました。餃子のように皮の他に肉や野菜や油分が多い試料で、何が入っているか分からない時に、混入成分を特定するのは実は非常に難しいのですが、市販の検査キットで先ずアセチルコリンエステラーゼが阻害されることから、カーバメイト系か有機リン系殺虫剤が混入されていることを推察。次は、餃子を皮と具に分け、抽出液を水と有機溶媒で液々分配を冷却しながら行うことで肉の油分(ラード)を分離したことが、機器分析によるメタミドホスの特定に成功した理由のようでした。言われてみれば何だそうだったのかですが、これで中毒は毒物混入によるということが明らかになって、その後の適切な捜査活動につながったわけです。

 しかし、それから後の研究の展開については、本当はもっと多くの実験データを持っている筈にもかかわらず、現在日中の政府で検討が進行中だからという理由で、メタミドホス製剤を袋の外側に処理してマイナス20℃に一定期間置くと何%かは内側に透過することが確認されたということ以外、何も言及はありませんでした。地方の行政機関の研究者で、しかも日中間の微妙な政治問題がからんでいますのでやむを得ないのでしょうが、大学の研究者と違ってつらい立場だなと思いました。一日も早く国民の疑念を払拭して餃子問題を過去の問題にするために、まさか日本政府が千葉県警に中国政府の発表に歩調を合わせるような発表を強要するようなことはないと信じますが・・・。