2010年7月24日土曜日

 7月21日に振り込んで下さった方(5回目)の支援金が届きましたので、現在高は46,000円、延べ143名からの支援金合計額は1,919,565円になりました。ありがとうございました。

 今日も猛暑日でしたが、日本法中毒学会に顔を出してきました。私は会員ではないのですが、総会で配れらた資料を見ますと、学会員は主に4つの分野-法医学、薬学、鑑識科学、その他-の研究者で構成されていることがわかりました。これとはまた別に、日本法医学会というのもあるようです。

 大会では、農薬分野の研究者の私にとっても興味深い研究発表がたくさんありましたが、国立医薬品食品衛生研究所の花尻(木倉)瑠理博士の特別講演「カンナビノイド受容体が関与する違法ドラッグに関する最近の知見」は印象に残りました。カンナビノイドというのは、大麻の三大主要成分であるテトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、カンナビノール等を含み、多くの合成カンナビノイドが違法ドラッグとして流通しているだけでなく、植物製品にも幻覚作用を示すものがあるとのこと。「天然ハーブ」とか「ナチュラル」とかを標榜しながら、実際は強い活性を有する合成カンナビノイドを添加した植物製品の流通も世界的に問題になっているとのことでした。

 農業の分野でも、有機農業や無農薬栽培で農薬の代わりに作物保護に使われるいわゆる「漢方農薬」「植物抽出液」「植物活性液」「土壌活性剤」の類で活性のあったものには例外なく農薬が混入されていることを私たちの研究は明らかにしてきました。中には、餃子から検出されたメタミドホスより2倍も毒性が高いアバメクチンという抗生物質殺虫剤が混入されている「人と環境に優しい」と謳った自然由来の防除資材もありました。こういうものは、巧妙に取り締まりを逃れて流通していて、農薬登録されておらず品質も使用方法も規制されていませんので、環境にとっても消費者にとっても散布作業者にとっても危険です。違法ドラッグにしても偽装農薬にしても、今後こういうものが益々登場してくる可能性がありますので、流通監視体制を強化するとともに、国民一人一人が「天然」とか「ナチュラル」とか「有機」とか「無農薬」とかの美名に騙されないようにすることが必要です。