2010年11月8日月曜日

日本学術会議講堂で開催された公開シンポジウム「稲作と植物保護を展望する」を聴講してきました。5題の話題提供と1題の特別講演がありました。

東京大学の田付貞洋名誉教授はイネ害虫特にニカメイチュウの問題について、神戸大学の土佐幸雄教授はイネいもち病問題について、茨城大学の佐合隆一教授は水田雑草の問題について、近畿大学の松田一彦教授は殺虫剤の受容体における選択性の分子基盤について、理化学研究所の仲下英雄博士は誘導抵抗性による病害防除の問題について講演し、筑波大学の鎌田 博教授は植物保護とGMO(遺伝子組換え作物)について特別講演をしました。

いずれも各々の分野で長年研究に従事されている第1人者の講演でしたので、大変勉強になりました。鎌田教授の講演の中で、アフラトキシンに代表されるカビ毒は安全な食の生産の重要問題であることの指摘に続いて、トウモロコシでは害虫(アワノメイガ)の食害で発生するカビ毒の発生頻度・汚染濃度は有機・無農薬栽培>農薬を使った通常栽培>害虫抵抗性GMO(殺虫活性のあるBtたんぱく質発現)の順に高いという情報は、よく有機農業を推進している人たちが主張しているように、虫が食っている農産物は安全という宣伝は間違いだということを再認識させました。

防除をしなければ、病害虫・雑草による被害(減収率)は40%にも上り、それは世界人口24億人分の食料が失われることに相当するという指摘も、植物保護の重要性を再認識させました。