2011年10月22日土曜日

昨日は支援者から以下のお便りが届いていました。
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今晩は。昨日(10月19日)のブログ拝見しました。面会された時の市橋達也さんの様子を、お知らせ頂き有難うございます。差し入れた本のリストは、もう届いたとの事で、早いですね。いつも手紙を送る時に千葉刑務所に到着後に検閲で、彼に届くのに数日かかるのかと思ってました。宅下げに関しての、彼の心遣いが嬉しかったです。

今迄の面会は、市橋達也さんがどのように過ごされてるか等、気になる反面、彼への支援者からの質問や確認ばかりになってしまい申し訳なく思ってました。本山先生には、いつも質問事項のメモを用意されたり、気遣って頂き有難うございました。少し落ち着いたら、本山先生と市橋達也さんと、短い時間ですが、ゆっくりお話をして欲しかったです。彼からのお話しや、気持ちを聞けて良かったです。彼も本山先生と心許せる時が過ごせたと思います。

差し入れの制限は、政府の業務仕訳の関係で変わったのかもしれないですね。今迄、未決囚に対して1日5冊迄でしたが、差し入れする方に対して3冊でしたら、彼にとっても複数の本が届きますね。11月~ですと、その前に東京拘置所に移送されてるかも知れませんが…
電話で確認された差し入れが届かなかったとの事。私も以前スケッチブックを差し入れたくて、事前に電話確認しましたら、ジャバラが付いてないものなら可能と言われ、持って行きましたが、受付で入れられないと断られました。種類ではなく、スケッチブック自体が入れられないとの事でした。いつも電話や差し入れの受付の方は感じ良く対応して下さります。恐らく、検閲される方や横の繋がりに問題があるような気がします。

本山先生は、フルマラソンに参加の申込みをされたのですね。応援してます。頑張って下さい。
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今日は日本衛生動物学会東日本支部大会が国立感染症研究所で開催され、私も朝早く家を出て、夕方まで一日聴講してきました。国立環境研究所の五箇公一博士による特別講演「生物多様性の崩壊と感染症問題~進化生態学の視点から」は、豊富なスライドと、話術の巧みさと、論理的な構成とで、聴衆を引き込みうならせました。

両生類に寄生するカエルツボカビ菌を中心に、海外各地でカエルの絶滅をもたらすと危惧された真菌の一種カエルツボカビが実は日本の両生類に在来で、食用に養殖したウシガエルの輸出に伴って海外に広まった可能性を膨大な遺伝子解析の結果から証明していました。進化生態学でいわゆる「赤の女王仮説」(The Red Queen Hypothesis)と呼ばれる、宿主生物(寄生される側の生物)が雄と雌で子孫を残す有性生殖は遺伝子の多様性をもたらし、それは種の多様性をもたらし、ひいては生物の多様性をもたらし、そのことで寄生生物(パラサイト)によって絶滅させられるのを防いでいるという興味深い考えを紹介しました。他にも、宿主生物と寄生生物の共進化の例として、世界中から採集したクワガタムシとクワガタナカセと呼ばれるダニとの関係を挙げ、結局パラサイトや病原体ですら、生物多様性のユニットとして捉えることができる、という見かたを示しました。つまり、人類は生物多様性のお蔭で地球上に生存できているが、生物多様性は宿主生物と寄生生物の共進化でもたらされているので、私たちはパラサイトや病原体とも共存しなければならない、という結論につながります。人類の歴史15万年でも気の遠くなるような時間の長さですが、生物の進化の歴史35億年の時間スケールで考えると、また違った見方ができるものだと感心しました。

近年の新興感染症・再興感染症(例えば鳥インフルエンザなど)の蔓延(まんえん)は、病原体自身が問題ではなく、自然界における共進化をかく乱している人間活動に原因がある、という考えにはさすがにフロアから「それでは私たち人類はどうすればいいのか」という質問が出ました。五箇博士の答えは、地域固有性が生物多様性をもたらすので、行き過ぎたGlobalization (グローバリゼーション)ではなく、もっと地域性を大事にしたLocalization (地域限定生活) あるいはLocalism (地域主義) を求めるべきということでしたが、進歩に逆行することはできないので、ちょっと苦しい答弁の印象でした。

シンポジウム「東日本大震災被災地の環境と衛生害虫の発生(予報)」も、津波後に大量発生したハエ類と疾病(しっぺい)媒介蚊を現地で調査した興味深い講演が続きました。
一般講演の中で特に興味深かったのは、岡戸 清博士(慈恵医大)らのキイロショウジョウバエをモデルとした病原細菌(大腸菌)の摂食媒介メカニズムに関する研究で、GFP(Green Fluorescent Protein 緑色蛍光タンパク質)発現大腸菌を使った実験や、触覚切除あるいは遺伝子操作で作った嗅覚(きゅうかく)能力欠如ショウジョウバエを用いた実験から、病原細菌の出す誘引物質が摂食を誘導して媒介を促進しているということを明らかにしていました。

今日は全く走る時間がなかったので、明日は少し余分に走って今日の不足分を取り返すつもりです。