2012年3月16日金曜日

ずい分遠方の支援者が、片道4時間半くらいかけて来週21日(水)に市橋君に差し入れに来られることになりました。私にも会いたいとのことでしたので、私もその日に合わせて面会に行くことにしました。重なって無駄足にならないように、3月21日(水)は他の支援者の方は差し入れも面会も避けていただければと思います。東京周辺の地理には不案内とのことでしたので、東京駅の新幹線のホームまでお迎えに行くつもりです。

控訴審の傍聴席券の抽選に当たって傍聴して来られた支援者から、以下の報告が届きました。
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今晩は。昨日の控訴審、傍聴券の抽選に当たり傍聴出来ました。ニュースでも放送されていましたように、市橋達也さんは殺意を否認し、涙ながらに謝罪をしました。
弁護側の控訴趣意書の要点朗読では、法令違反や事実誤認や量刑について、述べられました。殺意について、検察のストーリーの仮説、公判前整理手続き、裁判員制度、被害者参加制度などに関して主張されました。マスコミ報道では、被告人質問での彼の証言の一部を取り上げていますが、控訴趣意書も重要だと思います。控訴審は、不当と思われる点を控訴趣意書として提出されると伺い、内容が気になっていましたので、傍聴出来て良かったです。
市橋達也さんは終始うつむいていましたが、ご遺族の意見書が読み上げられますと、更にうつむいて聞いていました。一審でリンゼイさんの首を3分間絞めて殺害をしたと認定されたことを、被告人質問で強く否定しました。事実を知っているのは私だけと、事実を認めて欲しいと思う強い気持ちを感じました。彼の謝罪の気持ちを直接聞いて、思っていた以上に精神的に苦しんでいるのが伝わって来て、辛くなりました。

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今日は学会の最終日でしたが、一般講演、ランチョンセミナーの他に、午後からは「農薬の毒性評価とリスク・コミュニケーションの最近の動向」というテーマのシンポジウムがありました。5人の講師の講演はいずれも素晴らしい内容でしたが、私には特に大阪市立大学大学院医学研究科の鰐淵(わにぶち)英機教授の「化学発癌に関する考え方ならびに最近の動向」と、住友化学(株)生物環境科学研究所の稲若(いなわか)邦文博士の「毒性とエピジェネティクス」は、勉強になりました。エピジェネティクスというのはあまり馴染みのない言葉ですが、次のサイトに詳しい解説があります:http://mui-therapy.org/newfinding/epigenetics.html。鰐淵教授は、遺伝毒性のある発がん物質の発がんリスクには閾値(いきち)がないと言われているが、実際には一定以下の低用量では閾値があるということを証明した実験例を示し、リスクアセスメント・リスクマネジメントは可能であるということを示しました。稲若博士は、Anway ら(2005)のScience 誌に掲載された有名な論文(胎児・乳幼児期に受けた影響が経世代的に後続の世代にも影響すると報告した)が、実は再現性がなかったということを証明したいくつかの研究を紹介しました。閾値の問題もエピジェネティクスの問題も、最初に論文が発表された時はショッキングで、非常な注目を集め、化学物質の健康影響を不安視する根拠として引用されましたが、実はそうではなかったということを証明した功績は大きいと思いました。

せっかく岡山まで行って、いつものようにジョギングできる運動着とランニングシューズを持って行ったのですが、情けないことに今回は一度も走らずに、どこも見学もせずに帰ってきてしまいました。宿泊していたホテルの部屋で、一応毎朝6時に電話のモーニングコールを設定して目は覚ましたのですが、精神が軟弱になってきたのか、ベッドから起き上がってシャワーを浴びて運動着に着替えて朝食前に一走りしてくるという気になりませんでした。