2012年4月11日水曜日

二審も無期! 裁判の結果と様子については、抽選に当たって傍聴された支援者が裁判が終わるとすぐ電話で知らせてくれました。ありがとうございました。別の支援者は裁判が終わる前に判決をネットでチェックしてメールで送ってくれました。ありがとうございました。朝日新聞千葉支局の記者は、裁判が終わってすぐ東京農業大学の私の研究室に駆けつけて、勉強会に出かける直前の私を捕まえて取材していきました。弁護団からは控訴裁判の見通しが厳しいことは伺っていましたが、有期刑になる一縷(いちる)の望みはあると思っていました。
私は、明日12日(木)東京拘置所に行って市橋君に面会してきます。それからその次のことを考えようと思っています。

本間 龍氏から以下の時宜(じぎ)を得たお便りが寄せられました。ありがとうございました。受刑が始まるまで差し入れが可能かどうかという支援者からの問い合わせにも回答して下さっています。
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本山 先生 こんにちは。
本日の判決は大変残念でした。無期は回避されるかと期待していましたが、人一人を殺めてしまったという厳然たる事実の前には、その願いも通らなかったようです。私自身も元加害者という経験を持った人間ですから、市橋さんの「どうして自分が言っていることが信じてもらえないのか」という法廷での一言の意味がよく分ります。
いくら謝罪しても「悔恨が足りない」「心からの謝罪が感じられない」と言われ、では一体どうすれば信じてもらえるのか、誠意が伝わるのか、と問うても誰も答えてはくれません。所持金がなかった市橋さんが印税で少しでも弁済しよう、と出した本が「周到に刑事責任を減刑しようとした」と言われてしまうのもそのためです。
しかし、これは被害者の立場から見れば仕方がないことだとも言えます。どんなに謝罪されたところでリンゼイさんは帰ってきませんから、遺族はそもそも謝罪など期待していないのです。つまり、殺人等の重罪の場合は、一度行為を為してしまった時点で加害者には弁解の余地など全くなく、その結果責任だけが重く追求される、ということなのだと思います。
今後のことですが、今日から2週間、控訴期間が設けられます。この期間は未決と全く同じですので、面会も差入れもできます。この2週間以内に控訴手続きをしませんと、法的には15日めから既決となるのですが、いきなり刑の執行があるわけではありません。なお1週間ほど余裕があり(恐らくこの間に書類上の手続きがされるのだと思います)、3週目が始まる頃に「刑の執行」が申し渡され、既決囚の階に移されます。(この約1週間も、未決と同じですので面会・差入れは可能です)ゴールデンウイークの連休中はそうした執行がありませんので、執行は連休直前か連休明けのどちらかになります。市橋さんは重要事件の当事者であるためずっと独居でしたので、既決になってもおそらく独居のままだと思われます。そこで袋貼り等の軽作業に従事し、概ね1ヶ月程度で刑務所に移送されます。一番可能性が高いのは、初犯で10年以上の受刑者を収容している千葉刑務所ですが、これは確証ではありません。移送は当日まで本人・家族・弁護士にも知らされないため、移送先から本人の手紙が届いてはじめて判明します。
今後は彼にとってもっとも辛く、長い時間が始まります。現在、無期懲役犯の平均収監期間は約30年であり、現刑法ではその間の贖罪や悔恨の情を斟酌して減刑に繋げるシステムがありません。また、懲役労働以外に、社会復帰に備えた自己研鑽の機会もほとんどありません。冷酷な言い方ですが、無期刑とは約30年に渡って、ただ社会から隔離する「隔離刑」であると言えます。
私は、市橋さんの刑は刑として、今後は彼(及び全ての受刑者にとって)の長い長い時間が少しでも、本人と社会にとって有益になるように、現行のシステム改革をするべきだと思っています。今後、この会が塀の中の市橋さんと社会を繋ぐメッセージを発信し続けてくれることを願っています。
本間 拝

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その他の支援者からもお便りが届いています。
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先生、判決残念でなりません。今までの話題はなんだったのかと思います。裁判長の述べた事は弁護士の先生方の努力を何ひとつも審議してくれず、市橋君の事を全て反論し、政府の圧力を感じずにはいれません。人間が人間を裁くのです。どこに証拠があるのでしょうか?政府の圧力があったとしか考えられません。本を書かせたのも弁護士です。その印税を寄付させたのも弁護士です。よかれと思ってしてくれた事が全部裏目に出でしまった事、弁護士の先生がたが、がんばって証拠を収集してくださったことが何一つ取り上げてもらえなかった事悔しくてなりません。今後の市橋君の支援を先生に全て委ねます。市橋君を守ってあげてください。今〇〇さんと悔しくてやけ酒を飲んでます。
市橋君がひとり、どんな思いで居るのかと思うと胸が締め付けられそうです。母親の気持ちで暖かく抱き締めあげたいと思います。ご両親ももう会ってあげてください。
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本山先生、今日の判決は耳を疑いました。市橋君の事が心配です。やっぱり司法は独立してないんですね。自分の言っている事が信じてもらえないんですからさぞかし落ち込んでいるんでしょうね。市橋君との連絡が途絶えないように先生面会に行かれた時にお願いします。私もこれから勉強して今後少しでも市橋君を支援できるようにいていきたいと思っています。今後の事はまだわかりませんが何か出来る事がありましたら言ってください。
先生面会宜しくお願いします。

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本山先生こんばんは。いつもブログの管理や面会での市橋さんの様子を知らせて頂き、ありがとうございます。控訴審判決も無期でしたね。今回も殺意はなかったという訴えを認めてもらえなかったのが残念でなりません… 昨日のブログで上告について山本弁護士のお考えに『市橋君自身が納得することが今後彼が生きていく上で大事』とありましたが、私も望む結果になるのかわからなくても、やれるだけのことはやって欲しいと思います。
もしまた支援が必要なら協力させて頂きますので。本山先生は12日か13日に面会に行かれる予定なのですね、ありがとうございます。今日の判決を受けて今市橋さんがどんな精神状態でいるのか心配ですが、元気づけてあげて下さい。お願いします。

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本山先生 公私にわたりお忙しい中、本当にありがとうございます。気にしておりました再審でした。もしかしたらと期待しておりましたが、またも無期、本当にがっくりきてしまいました。市橋さんは今頃どんな気持ちで、一人で過ごしているかいるかと思うと、ただただつらい思いです。
現在では「無期=30年以上」ということですが、今後も長くなるのではないかという気がしております。もし30年としても、市橋さんが出てくる頃には60歳代半ばということですね。懲役中のつらさに加え、まさに「浦島太郎状態」となって出てきて、生活の基盤が築けるのかという不安もあります。(本山:以前、菅野弁護士にお訊きしましたら、現在は無期の場合は途中の仮釈放はなく、ほとんどの受刑者は刑務所の中で死を迎えるとのことでした。) 実際に更生につなげるには、どのような支援が必要なのか、私も考えてみます。
先生、明日は面会に行って下さるとのこと、ありがとうございます。市橋さんにとって、どんなに励まされることかと思います。支援者は、長期にわたって更生を支援していくつもりであること、だからどんなにつらくても投げ出さないでほしい、決して一人ではない、孤独ではないことを再度お伝えくださいませ。
また、本当に厚かましいお願いではございますが、市橋さんのご両親に面会に行くよう進言いただくことはできませんでしょうか。(本山:事件のあったマンションの鍵を弁護団から受け取ってお返ししなければなりませんし、支援者名簿もお送りしたいと思っていますので、ご両親には近いうちに一度はお手紙を差し上げるつもりです。それぞれのお考えがあることは承知しております。けれど、せめてご両親くらいは、もう赦してあげていただきたいのです。無期ということは、面会に行かなければ今生の別れです。刑務所に入るということは、罪を償うことです。罪を償いながらも、その上にさらに、家族にも会えないのなら、いったいどこまで償いを求められているのかと思います。明日はつらい面会になるかもしれませんが、何卒よろしくお願い致します。

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今日は東京農業大学の食と農の博物館で、NPO法人(特定非営利活動法人)良い食材を考える会 http://www.yoishoku.com/ 主催/東京農業大学食育研究部会共催の「食材の寺子屋」という勉強会が開かれ、私も聴講してきました。話題がタイムリーだったこともあって、今日の勉強会には107名もの参加者があったそうです。同会専務理事の中村靖彦氏(元NHK番組ディレクター・解説委員)の司会で、篠原 隆氏(食品安全委員会リスクコミュニケーション官)による講演「気になる食べ物の放射性セシウム~食品中の放射性物質のリスク評価~」に続いて、消費者の立場から吉中由紀氏(パルシステム神奈川ゆめコープ理事長)と、生産者の立場から富谷亜喜博氏(千葉県山武市の有機農家、さんぶ野菜ネットワーク代表理事)からの感想と意見が述べられました。その後、質疑応答があり、フロアからいずれも鋭い質問と指摘がありました。篠原氏は、前半で食品のリスクと放射性物質の基礎について説明し、後半で食品中の放射性物質の基準設定と汚染実態と健康リスクについて分かり易く解説しました。一言で言えば、私たちの食卓に上っている食品の放射性物資の汚染にかかわる安全性は現実的に問題はない(例えば、下のスライド参照)ということですが、消費者は非科学的・非現実的なゼロリスクを求めますので、生産者は風評被害で苦しみ、流通業者は莫大な無駄な経済的支出を強いられるという状況が起こっているということです。実際には健康影響問題はないにもかかわらず、風評被害に苦しめられてきた食品残留農薬の問題と全く同じ状況だなと思いました。


1年に1回妻と一緒に受けている人間ドックの検査で、私はどこも異常がない中で、目だけは動脈硬化性眼底という診断結果で要精密検査ということでしたので、今日は眼科の専門医の診察を受けてきました。眼底に動脈硬化は認められず、異常なしという結果でしたので、安心しました。