2012年5月10日木曜日

朝9時51分に新潟駅に着いたら、新潟県庁農林水産部治山課に勤務している千葉大学園芸学部環境緑地学科の古い卒業生(1984年卒)が迎えにきてくれていました。学生時代に私の講義を受講した一人で、話をしている中に当時の様子を思い出しました。雨の中を車で海岸の松林の様子を見に行きましたが、予想していた以上に松枯れは酷い状況でした。この卒業生は、学生時代は緑地保全学という研究室を専攻していましたが、卒業して30年近く経って、こうして地方の県庁で活躍しているのを見て嬉しく思いました。

県庁内の食堂で昼食を済ませ、研修会場の新潟県トラック会館に行きました。参加者は県や市町村の松林保全の関係者が中心で60名ちょっとくらいで、先ず新潟大学で森林生態学が専門の紙谷智彦(かみたにともひこ)教授(副学長)の「新潟海岸保安林におけるクロマツ林の現状と管理指針について」と題した素晴らしい講演がありました。デジタル空中写真を利用して、近赤外波長域からNDVI(Normalized Difference Vegetation Index 植生指数)を算出して、クロマツの状態(健全、変色、枯れ)を識別するという方法で、角田浜、越前浜等、各地の松林が生態学的に現在どういう状況になっているかについて示されました。その上で、林相を最前線クロマツ低木林(犠牲林帯)、クロマツ高木林(安定帯)、クロマツ広葉樹混交林(遷移進行帯)に区分し、それぞれの特徴とどのように管理するかについて解説されました。私にとっては自分の専門とは全く異なる分野で、大変興味深く、勉強になりました。

紙谷先生はその後、大学で講義があるからと退席され、休憩をはさんで私が「松枯れ防止における農薬の役割-効果、経済性、安全性について」と題した講演をしました。参加者は、私たちの長年にわたる現場での調査研究の結果に裏打ちされた話に熱心に耳をそばだててくれたと感じました。
6月初旬に有人ヘリコプターと無人ヘリコプターで薬剤散布が予定されている新潟県胎内市の職員も来ておられたので、私たちがその機会に計画している飛散調査について打ち合わせができました。今月中下旬に現地を下見して、さらに具体的な調査計画を立てる予定です。
新潟駅近くの料理屋で、県庁の担当者等6名と私で料金自己負担制で有意義な情報交換会をし、自宅に着いたのは夜の10時を過ぎていました。情報交換会参加者は、私が市橋君の適正な裁判を支援する活動をしていることを知っていました。多分ネットで検索したのでしょう。
今日は、私にとっては、一仕事済んだという気分です。