2012年10月18日木曜日

今日のシンポジウムは、Plant Genetic Resources Center (植物遺伝資源センター)という日本(のJICA)が協力して作ったりっぱな研究所・遺伝資源保存施設の講堂(約200人収容)で行われました。開会時には、海外からの中立的・科学的立場での専門家として英国からDr. Bridges と日本から私が参加していることが紹介されました。シンポジウムは次の3つのセッションで構成されていました。
Session One
“Relationship between exposure to heavy metals & chronic kidney disease and other adverse health effects”
by Prof. Jim Bridges (University of Surrey, UK)
Session Two
“Clinical fetures of CKDu”
by Dr. Thilak Abeysekera (Teaching Hospital, Kandy)
“Risk factors of CKDu”
     by Dr. Kamani Wanigasuriya (Faculty of Medical Sciences, University of Sri Jayawdenepura, Nugegoda)
“Environmental Factors in CKDu”
     by Prof. Dhammika M. Dissanayake (Faculty of Medicine, University of Peradeeniya)
Session Three
“Global perspectives of pesticides regulation”
     by Prof. Naoki Motoyama (Tokyo University of Agriculture)
“Crop protection products: Global perspectives”
     by Dr. Vasant Patil (CropLife Asia)

国歌の演奏とCropLife Sri Lanka 代表の挨拶から始まりましたが、肝心の政府の高官の到着が遅れているとのことで、予定より少し遅れて開会されました。いずれも大変素晴らしい講演でしたが、特にSession Twoは腎臓病の専門医と医学部の先生たちの講演でしたが、いわゆるEnvironmentalist(反農薬活動家)たちが主張しているように、輸入農薬から極微量の重金属(特にヒ素)が検出されたことから農薬がCKDuの原因であることを示す科学的根拠はないという点で一致していました。スリランカの農業にとって農薬が重要な資材であるという認識も共通していると感じました。
昼食の休憩時間にSession Oneの座長をされたUniversity of Peradeniya の化学科教授のDr. Oliver A. Ileperumaに話しかけられましたが、反農薬活動家たちが分析機関に委託して検出したとする微量の重金属の分析結果が再現性があるのか、どれだけの精度の値なのかという点について、スリランカでも独自に分析してみたいが残念ながらそれに必要な機器が国には1台もないので、私を通して日本(多分JICAを意識して)の協力が得られればありがたいとのことでした。
このことは、シンポジウム閉会後、宿泊しているホテルで行われた二次会にもスリランカ政府で農薬登録の総責任者(Registrar of Pesticides)の地位にある高官 Dr. Anura Wijesekera からも相談をされ、スリランカのCKDuの問題解決のために、今後日本との協力関係を築きたいので後日メールで連絡をすると言われました。
Session Twoの座長も2番目と3番目の講演者も女性の学科長・研究者・教授でしたが、大変りっぱな仕事をしておられて、スリランカでの女性の活躍の一端を見る思いでした。確か独立後、国名をセイロンからスリランカに変えたのも女性の首相か大統領かの時だったような気がします。
私も何とか務めを果たして気が楽になりましたので、二次会で入国して初めてビールを口にしてぐっすり眠りました。