2012年10月17日水曜日

バッフェースタイルの朝食を食べて、ロビーに行ってみたらDr. Patil の方から私を見つけて声をかけてくれました。彼も私も1978年にノースカロライナ州立大学を離れて以来ですから、34年振りの再会でした。
コロンボ市での会議はすでに15日に行われて、イギリス人の重金属の毒性に詳しいDr. Jim Bridges (私と同じように名誉教授)とDr. Patil が講演したとのことでした。今日はスリランカ政府の厚生省所管のMedical Research Institute (国立医学研究所)のDirector (所長)のDr. Anil Samaranayake と面会する約束ができているとのことで、Dr. PatilDr. Bridges、私、それにCropLife Sri Lanka の人とで出かけました。所長によると、国立医学研究所でもスリランカの北中央部の辺りで特異的に多発している原因不明の慢性腎臓障害(Chronic Kidney Disease of unknown etiology を略してCKDuと言う)については原因究明の研究に取り組んでおり、問題の地域の井戸水を長期間実験動物(ラット)に投与する実験をしたところ、慢性腎臓障害の症状を再現できたとのことでした。その研究はすでに学会誌に投稿して掲載済みなので、別刷りをいただけるとのことだったのですが、残念ながら実験を担当した人が留守なので、後ほど送ってくれるということになりました。しかし、Dr. Bridges によると、慢性腎臓障害と重金属の関係については徹底的に文献検索をしてきたがそういう論文は見つからなかったとのことなので、まだ掲載はされていないのかもしれません。もし所長の言ったことが事実だとしたら、住民の飲んでいる地下水(井戸水)に関係があるということなので、原因の解明はできそうな気がするのですが・・。
国立医学研究所の所長ともなると非常に多忙らしく、研究者の研究内容を必ずしも性格に把握していないのかもしれないし、本人は若い時にスウェーデンの大学で医学の教育を受けたと話していましたので非常に優秀な方なのでしょうが、話し方が若干官僚や政治家的な感じがしました。Dr. Samaranayake と は約束の約2時間ほど意見交換をして、研究所を後にしました。
翌日の会議はコロンボ市内ではなく、車で5時間くらいかかる北部のParadeniya(パラデニヤ)地区のPlant Genetic Resources Center (植物遺伝資源センター)の講堂で行われるとのことなので、午後からはDr. Patil、私、Prof. Bridges 夫妻はトヨタ製のミニバスに乗ってそちらに移動しました。2車線しかない狭い道路を、車とバスと小型の3輪自動車とオートバイと人が混在して、昔東京オリンピックの時に日本のタクシーは狭くて混雑している道路をすごいスピードで走りぬけることから神風タクシーと呼ばれた時期がありましたが、前にいる車を次々に抜き去って走る様子はそれ以上の神業のようでした。Dr. Bridges の奥さん(後で自分の奥さんは栄養学が専門でロシア人だと教えてくれましたが、素敵な女性でした)は後部座席で目をつぶっていたようです。CropLife Sri Lanka の二人は別の車で出発し、途中打ち合わせてあった休憩所兼レストランで落ち合って一緒に食事をしました。Lanken Ceylon PLC という総合会社の農業部門のGeneral Manager(総支配人)のNishantha Jayamanne 氏と、Arista LifeScience という日本の会社のスリランカの総支配人のRanjan T. Gunasekara 氏です。