2014年9月12日金曜日

第10回松枯れ防除実践講座の1日目のプログラムは、関係者数人の挨拶に続いて、報告1「中部森林管理局における松くい虫防除対策の取り組み」(林野庁森林管理局k鋭角保全部保全課松元和正氏)、報告2「長野県における松枯れ被害と対策について」(長野県林務部森林ずくり推進課田中裕次郎氏)、特別報告「高標高地などの寒冷地域でのマツ材線虫病被害対策の難しさ」(長野県林業総合センター育林部岡田充宏弘氏)、特別講演1「防除対策を実施しても松枯れが防げないのは何故か」(千葉大学本山直樹)、で交流会でした。

2日目のプログラムは、特別講演2{空中写真を活用した松枯れピンポイント防除法-空中写真を利用した松枯れ被害木の解析とその活用について-」(森林総合研究所温暖化対応推進拠点中北 理氏)、屋外実習として①伐倒・玉切り木丸太からの材片採集、②伐倒燻蒸、③殺線虫剤の土壌灌注、④伐倒・玉切り丸太への昆虫寄生菌ボーベリア菌処理、⑤ナラ枯れ予防薬剤樹幹注入、屋内実習として⑥マツ材線虫病診断(DNA診断)キットの使用手順デモンストレーションで、実習は5班に分かれて実施されました。最後に協力企業による各5分間ずつの補足説明と、受講証明書の授与がありました。

いずれも興味深い内容で大変勉強になりましたが、中北 理(おさむ)博士の、2枚の航空写真(衛星写真ではなく)から最新のデジタル化技術で松林を三次元(立体的)に変換して松くい虫被害木の位置をを特定できるという講演には驚きました。その情報を無人ヘリコプターにプログラムしておけば、次世代の発生源になる松くい虫被害木を対象にピンポイントに薬剤散布ができるというものです。松林全体に予防散布することに比べて、著しく減農薬になります。ただ、マツノマダラカミキリ成虫は必ず自分が羽化脱出してきた木の当年枝・1年枝を後食するという行動習性が確認されているかどうかということと、他の松林や単木から飛来・後食してマツノザイセンチュウを侵入させるマツノマダラカミキリ成虫に対してはどうやって防除できるのかという点がちょっと不安になりました。

回覧されたマツノマダラカミキリの標本は、雄は雌よりも触角が長い、雌の触角は節が明確という特徴が明確でした。また、伐倒・玉切りした被害木に昆虫寄生菌(ボーベリア菌)を不織布に増殖させて丸太に処理し、感染致死したマツノマダラカミキリ成虫の標本も貴重でした。

信州大学農学部構内にあった大きな松と思われる切り株の年輪数を数えてみたら104本ありました。構内にはアカマツの大木がたくさんありましたので、この辺りは昔は松林だったのかなと想像しました。