2014年9月30日火曜日

東京の王子駅前の「北とぴあ」というところで、第29回報農会シンポジウム「激動する農業環境における革新的技術と経営的評価」が開催され、私も聴講してきました。シンポジウムは5つの課題についての講演と総合討論から構成されていて、いずれの講演も素晴らしい内容でした。

第1課題:有限会社貫井園の貫井香織氏による「一次から六次へ、埼玉から世界へ-”今”だからできる農業の可能性」
第2課題:(独)農研機構中央農業研究センターの津田真や新哉氏による「臭化メチル剤から完全に脱却した産地適合型栽培マニュアル」
第3課題:高知県農業振興部の古味一洋氏による「高知県における天敵を中心にしたIPMについて」
第4課題:岩手県花巻市農事組合法人遊新の高橋新悦氏による「飼料用米の生産現場での取り組み」
第5課題:滋賀県立大学環境科学部の増田清敬氏による「水稲の減農薬栽培導入に関する経営的・環境的評価」

私には特に第5課題の講演が興味深く、斬新な内容でした。滋賀県は琵琶湖に接していることから、水田で使われる農薬と化学肥料が水路に流出して琵琶湖に流入するのを防ぐのは重要な課題です。慣行栽培に比べて化学農薬の使用量を50%以下に、化学肥料の使用量を50%以下に減らした農業は環境保全型農業あるいは特別栽培として、奨励されています。環境影響は大きく2つに分けて、地球温暖化(CO2等量換算)と富栄養化(PO4等量換算)で評価されますが、増田先生の農業経済学的計算では、減農薬栽培は慣行栽培に比較して農業所得が減少する一方で、環境影響に対する改善はごくわずかか、むしろ悪化するという驚くべき結果でした。
これでは減農薬栽培を導入しようとしても、農家に普及しないのは当たり前ということになります。
河川への流入の可能性は小さい果樹園や野菜畑の減農薬栽培における環境影響と農業所得の関係についても、誰か同様な評価をしている人がいるかどうか・・。

例年通り懇親会も予定されていて私も参加するつもりでしたが、急に心変わりして参加せずに帰宅しました。アメリカ出発の日が近くてまだ準備が終わっていないので、酔っぱらってしまうのはまずいという分別が働いたのかもしれません。
夕方早目に松戸に帰れたので、散髪に行ってきました。これで来月1ケ月はアメリカの床屋に行かなくてもすみます。