2014年10月1日水曜日

昨日の報農会シンポジウムでの総合討論では、滋賀県立環境科学部助教の益田清敬先生の講演内容に関してもう一つ興味深い議論がありました。益田先生は水田に減農薬栽培を導入した場合の環境影響を、地球温暖化と富栄養化という2つの指標で評価したことに対して、生物多様性あるいは種の多様度に及ぼす影響評価も必要ではないかという議論です。益田先生は元々農業経済学がご専門ですので、減農薬栽培が生物多様性にどう影響するかについては、データも評価方法も持ち合わせてはおられませんでした。
千葉大学勤務時代に私たちは何年間にもわたって、水田で使用された農薬が水田周辺や水田水路の生物相に及ぼす影響について実態調査を実施しました。その結果、散布される農薬の種類によっては感受性の高い特定の生物種の密度を低下させる場合があっても、翌年には回復する一時的変化に過ぎないということが明らかになりました。

「飼料用米の生産現場での取り組み」について講演された岩手県花巻市の農事組合法人遊新の高橋新悦氏は、農地の集団化、消費者(コープネット事業連合)との連携、組合員による豚の生産、など経営的な成功のポイントを紹介されました。飼料用米は人間が食べる白米ではなく、豚の飼料としての籾の生産が目的ですから、斑点米の原因となるカメムシ防除の農薬散布は必要ないにもかかわらず、周辺地域で人間の食料としてのお米の収穫を目的に栽培されている水田に悪影響を及ぼさないようにカメムシ防除の農薬散布をしているとのことでした。
有機農業の場合もそうですが、自分の農耕地では無農薬栽培で収量や品質を多少犠牲にしてもよいとしても、そこが病害虫の発生源になって周辺の慣行栽培をしている農耕地に被害を及ぼすことがあって、時々争いになります。
岩手県花巻市の場合は、周辺水田のために飼料用米栽培水田でわざわざ経費と手間をかけて農薬散布をしているという実態に、私を含めて多くの参加者が認識を新たにし感動しました。

昼近くに小雨が止んだので水元公園に行って2時間近く歩いたり走ったりして運動をしてきました。セミの鳴き声はすっかり聞こえなくなりました。誰かがコナラの木の下にドングリをたくさん集めていました。モモのようなピンクの小さな花が咲いている木があったので近寄ってみたら、ラベルにベニスモモと書いてありました。季節外れに間違って咲いたのでなければ、いつ頃スモモの果実に育つのでしょうか。

長野県庁の担当者から、駒ケ根市と千曲市で実施されたヘリコプターによる松くい虫防除の薬剤散布の区域図がメールに添付して送ってきました。私たちが2008年~2010年の3年間行った薬剤飛散に関する調査結果を誰でもが引用できるように学会誌に論文として投稿するために、依頼してあった情報です。