2014年11月15日土曜日

千葉大学名誉教授懇談会は西千葉キャンパスのけやき会館3階のレセプションホールで行われ、学長挨拶、出席者紹介(名誉教授の出席は50名)、叙勲・褒章受章者の報告、各部局長による大学の現況の説明がありました。その後1階の大ホールに移動し、講演会と在校生によるアトラクションとして竹葉会メンバーによる琴、三味線、尺八の演奏がありました。

講演会は、カンボジアから千葉大学工学部に留学して博士号を取得し、日本の株式会社タイワ精機(お米の精米機を製造)に就職して、現在はカンボジア社の社長をしている人が、「留学から就職-日本とカンボジアのつながりの中で生きる-」という演題で、日本語で話をしました。元留学生がこうして日本とカンボジアの懸け橋になって、日本の科学・技術で母国の発展に貢献している姿に、皆感動し、嬉しい気持ちになりました。

次に、学長が「千葉大学の将来展望」という演題で、全国の大学が置かれている厳しい現状と、その中で千葉大が目指している目標についての話がありました。
文部科学省からの圧力でしょうが、外部資金の獲得額で大学を評価して序列化するという仕組みに組み込まれて、あくせくあくせく働かされている教員が、まるで鞭で打たれながら走らされている競馬の馬のような気がして、気の毒になりました。私は、こんな時代に大学にいなくて良かったと思いました。

懇親会は大学会館2階のフードコート2というところで行われました。会費5,000円(その割には料理も飲み物も貧弱で、学内の施設で場所代がかからない筈なのに、会費が高過ぎる)を払って私も参加しました。ビールを飲みながらいろいろな人と歓談する中で、私の顔を認識できる見知らぬ女性事務職員が話しかけてこられ、市橋君の事件が起こった時に自分は大学本部で広報を担当していたとのことでした。当時私がテレビの取材に応じて、市橋君に自主的に出頭するように呼びかけをしたり、その後適正な裁判を受けさせる支援活動をしたことをよくご存知でした。大学は教職員がメディアの取材を受けることを禁止しましたが、私は大学は教育機関なのだから、元学生が犯罪を犯して地獄の底に落ちたら、逃げ場がなくなって自殺に追い込まれる前に手を差し伸べて引っ張り上げるのは教員として当然のことだという信念で、大学の方針に反してテレビの取材に応じたことを伝えました。名誉教授懇談会で、市橋君のことが話題になるとは全く予想外でした。

先月ノースカロライナ州のRTP(Research Triangle Park)にあるBCS(Bayer Crop Science)社のBee Care Centerを視察した時にTour(見学)の案内役をしてくれたSarah Myersさんから、彼女が参加したミツバチに関する会議のWebsiteが送ってきました。http://pollinator.org/nappc/conference.htm
オバマ大統領の要請を受けて始まったNAPPC(North American Pollinator Protection Campaign)の第14回の会議で、ワシントンDCで10月21日-23日に開催されたものです。この中のAgenda(プログラム)http://pollinator.org/nappc/agenda.htm を見ると、次のような内容だったようです。
10月21日
挨拶-Tom Van Arsdall
NAPPC(北アメリカ受粉媒介者保護キャンペーン)からの歓迎挨拶-David Inoue
USDA(アメリカ農務省)からの歓迎挨拶-Krysta Harden
Pollinator Partnership(受粉媒介者連携)からの歓迎挨拶-Laurie Davies Adams
招待講演”Pesticide Registration Procedures and Progress"-Jim Jones(EPA)
講演"View of the Path to Success"-Tim Tucker(American Beekeeping Federation)
講演"Keeping Healthy Bees to Meet Pollination Needs"-James Strange(USDA)
招待講演"Pollinator Conservation Strategies and a Neonicotinoid Moratorium: Lessons from Europe?"-Negel Raine(University of Guelph)
講演"How Rights of Way Can Become Forage and How Companies are Pitching In for Pollinators"-Peter Beesley(Pacific Gas and Electric Company)
招待講演"The Presidential Memorandum- A First Step in a Coordinated, Sustainable Future for   Pollinator Health"-Michael Stebbins(White House Office of Science and Technology Policy)

(NAPPC会員だけの限定参加の会合)
歓迎の挨拶-NAPPC運営委員会
2013年Task Force(活動)報告
Task Force(活動)セッション1の要約
Corn Dust Consortium Update(トウモロコシ種子処理粉剤研究連携の現状報告)
 
ミツバチの健康の現状報告
"Honey bee hemocyte profiles asociated with winter hardiness"-James Burritt(University of Wisconsin)
"Exposure of honey bees to neonicotinoids in corn guttation fluid"-Kristine Nemec(USDA)
"The effect of nutritional stresson the foraging and recruitment activitiy of honey bee workers"-Heather Mattila(Wellesley College)
"How do drought stress related alterations to floral traits and reward profiles in canola influence honeybee foraging and colony health?-Arathi Seshadri(Colorado State University)
"Assessing the role of environmental conditions on efficacu rates of entomopathogenic nematodes for controlling small hive beetles in honey bee hives- a citizen science approach"-Elizabeth Hil(Hamilton College)
"The effects of pollen diversity on bumble bee health in an agricultural environment"-Anthony Vaudo(The Pennsylvania State University)

10月23日
(NAPPC会員セッション)
朝食を囲んでの報告
報告者との討論
Task Force(活動)セッション2
Task Force(活動)セッション2の要約-Butch Blazer(USDA)
2014年Task Force(活動)報告
講評とまとめ
USDAへの感謝の挨拶
NAPPC運営委員会

講演で使用されたスライドや会議のプロシーディングズがあれば入手したいとSarahさんに依頼したら、USDAの主催者に問い合わせのメールを送ってくれたそうですが、まだ返事は届いていないとのことでした。
12月5日には東京農業大学総合研究所研究会農薬部会で、ネオニコチノイドと健康影響・ミツバチ影響について特集するセミナーを開催予定ですので、私も上記会議を聴講したいところでしたが、ちょうど20日~21日はパスポートを発行してもらうためにワシントンDCの日本大使館を訪問していましたので残念ながら不可能でした。