2015年1月19日月曜日

今日はジョギングに行く代わりに松戸市内を2時間ぐらい歩き回って、虫コナーズタイプの害虫忌避プレートの下がっている家を観察してきました。ドアや窓の外に吊るして虫が家の中に入ってくるのを防ぐ効果を期待しているものと、物干し竿の近くに吊るしてあるものがありました。洗濯物が虫で汚染されるのを防ぐ効果を期待しているのか、洗濯物を干したり取り入れたりする時に蚊が寄ってこない効果を期待しているのかどちらかでしょう。冬で害虫の発生は少ない時期にもかかわらず、結構普及していることがわかりました。

同様の資材にはシートタイプ、リキッドタイプ、スプレータイプがあって貼り付けたり、蒸散させたり、吹き付けたりしているようですが、プレートタイプの場合は形は少し違っても樹脂製のメッシュ(網)の中に蒸気圧の低い合成ピレスロイド系殺虫剤のメトフルトリン(忌避活性が高い)が練り込んであって、常温で少しずつ揮発させているものと思われます。
メトフルトリンは住友化学株式会社が開発した合成ピレスロイド剤の一つです。
http://www.sumitomo-chem.co.jp/rd/report/theses/docs/20050200_imi.pdf#search='%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3'

合成ピレスロイド剤には、殺虫活性が高いもの、ノックダウン活性が高いもの、魚毒性が高いものと低いもの、揮発性の高いものと低いもの、脊椎動物に対する毒性の低いもの、非常に水に溶けにくいもの、残効性の比較的長いものと短いものなどがあり、化学構造によって性質が異なります。従って、ネオニコチノイド剤についても同じですが、一口に〇〇系殺虫剤と一括りにしていいとか悪いとかという言い方は科学的ではありません。よく世間には「農薬」と一括りにして悪者扱いしたり、好き嫌いを言う人がいますが、個々の農薬には性質の違い(個性)がありますのでそれを無視して決めつけるのは無知ということです。

虫コナーズを開発した時は当然室内のチャンバー内でユスリカ成虫やチョウバエ成虫のような不快害虫を供試して忌避試験をして効果を確認してあるのでしょうが、問題は風による空気の流れや拡散による希釈が起こる屋外の条件下でも効果を発揮する濃度が保てるかどうかということでしょう。それと、ユスリカは主に田んぼや水路のような水の近くで発生し、チョウバエも汚水の近くで発生しますので、試験生物としては便利でも、実際に玄関や物干し竿の近くに接近してくる害虫とは違うということです。
ちょっと前まで、いわゆる中年のおばちゃんや有名タレントを使った虫コナーズのCM http://cm-hoi.net/groceries/9896/ をやっていましたので私も面白くてよくできたCMだなと思って見ていましたが、よく見直してみると玄関や物干し竿の近くに来てほしくないスズメ蜂や毒蛾やムカデや蚊などのような害虫にも効果があるような印象を与えてます。
いずれにしても、誤解を与えたCMが悪いのか、製品にはユスリカやチョウバエに効果がありますと記載してあるのに勝手に拡大解釈した消費者が悪いのか・・。消費者庁がどういう指導をして、メーカーがどういう対応をするか興味のあるところです。

明後日21日(水)は福岡、22日(木)は岡山、23日(金)は大阪で開催される緑の安全管理士の研修会で講演することになっていますので、ネットで羽田から福岡までの航空券と博多駅前と岡山駅前のホテルの予約をしました。追い込まれて直前にならないと動き出せない私の悪いくせですが、これで一安心です。博多-岡山、岡山-大阪、大阪-東京は新幹線で移動します。