2015年2月25日水曜日

月刊「現代農業」というのは、農業関係の書籍を出版している農文協(農山漁村文化協会)という一般社団法人が発行している農家向けの月刊誌です。http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_540gennou/
毎年6月号(実際には5月1日に発行)には病害虫・雑草の防除時期ですので防除の特集記事が掲載されます。
今から約20年前の1994~5年頃は、無農薬栽培や有機栽培がブームになってきた時期で、農薬に替わる防除資材として自然農薬とか漢方農薬とか植物抽出液とか土壌改良剤とか称する怪しげな資材(今は農水省がこれらをまとめて疑義資材と呼ぶようになった)が流行し、「現代農業」は主な読者は農家なので、そういう資材の広告が掲載されたり、それとタイミングを合わせてそういう資材を奨励するような記事が特集されたりしていました。広告は雑誌にとって重要な収入源でしょうが、ちゃんとした検証もなしに怪しげな資材の宣伝・販売に手を貸すことは、結果として農家を惑わして騙すことになりますので、雑誌としてのモラルが問われます。
その中の一つ「夢草」(むそう)は、自然派ネットワークという団体が国内産の10種類の植物の抽出液を混ぜて作ったと宣伝して全国的に販売し、無農薬栽培をしている農家や無農薬管理をしているゴルフ場などで使われていました。しかし実際には、私たちの研究により「夢草」の有効成分は意図的に混入された合成ピレスロイド剤のパーメスリンで、しかもそれは異性体組成の分析から日本国内で合成されたものではないということが明らかになりました。この結果は1994年3月に札幌で開催された日本農薬学会第19回大会で口頭発表し、論文としては[本山ら:日本農薬学会誌21,73-79(1996)]に詳細を発表しました。
私たちはその後、三浦グリーンビジネスという会社が販売していた「碧露」という資材を含めて、同様の資材は農薬が混入されている偽物だということを次々に明らかにして公表しましたが、科学的な事実が明らかになった後での自然派ネットワークや三浦グリーンビジネスの対応はあきれたものでした。自ら事実を再確認して販売を中止するどころか、弁護士を雇って私に「名誉棄損と活動妨害の疑いあり」という脅迫状に近い文書を送りつけ、有効成分の化学農薬を抜いた資材を分析させて農薬は入っていないという証明書を作らせ、「現代農業」に私を中傷するような記事を掲載させました。
つまりこれらの人たちは、自然農法や有機農業をやろうとしている農家を支援する社会正義の活動家の振りをしていながら、実際は金儲けだけを目的に詐欺行為をしている確信犯だったということです。

そんなことがあってからかれこれ20年が経過して編集担当者も入れ替わったらしく、当時の私と「現代農業」との険悪な関係をご存知ない今の担当者から今年の6月号に向けて記事執筆の依頼がありました。農水省が、日本の農薬登録制度を国際基準に合わせていくという流れの一環として短期ばく露評価(ARfDの設定)をし始めたことで、従来問題なく使われてきた農薬で使えなくなるものがでてきて農家が困っているという問題について解説してほしいという内容の依頼でした。
私は最近の「現代農業」に目を通していませんので、この雑誌の編集方針が変わって私の不信感が払拭(ふっしょく)されているかどうかがわからないということと、農業資材審議会農薬分科会長の役を退いてからずい分時間が経っているので最近の情報を十分収集してからでないと責任のとれる記事は書けないということで、ちょっと躊躇(ちゅうちょ)しています。
少し考えてから依頼を受けるかどうか返事をしようと思っています。

今日は千葉大学園芸学部は入学試験の二次試験の前記日程が行われていましたので、昼休みの運動は道場には寄らずに直接水元公園に行って2時間歩いたり走ったりしてきました。この頃はどの辺りにどういう鳥がいるか大体わかるようになってきました。鳥の姿が見える時は鳴き声も覚えるようにしています。今は落葉広葉樹の枝は葉が落ちて裸ですから鳥の姿が見えますが、夏になって枝が緑の葉に囲まれて見えなくなった時は、鳴き声でどの鳥かわかるようになるかもしれません。今日はラッキーなことにヒヨドリとシジュウカラがすぐ近くの木に留まっていました。バンの若鳥らしいのが地上を歩いていました。コガモの♀もすぐ近くで観察できたので、羽の色や模様をはっきり確認できました。