2015年2月24日火曜日

第2回世界若者農業サミットの日本代表2名を選ぶ最終審査会がバイエルクロップサイエンス社の本社の会議室で行われました。最終審査会に残った7名の中、2名はサミットの開催時期に他の用事と重なってしまって応募を辞退しましたので、実質5名が残りました。その中の1名は現在タイに滞在中、1名はインドに滞在中でしたので、電話会議に似たWEBEXというシステムを利用してお互いの顔が見える状態で審査をする予定でしたが、システムがうまく機能せず、顔は見えないままでの音声だけでのプレゼンテーション(10分)と質疑応答(10分)の審査になりました。
海外の2名はあらかじめ送ってきていたスライドをプリントしたものを見ながら、会場に直接来ることができた応募者は一人づつパワーポイントスライドを映しながらのプレゼンテーションでした。
応募資格には、18才(日本国籍の場合は20才以上)~25才という年齢制限がありましたので、大学の学部生と大学院修士課程までという若い世代が対象でしたが、その年齢で"Feeding a Hungry Planet"(地球レベルでの食糧安定供給について)という難しいテーマについて、しかも英語で討論をする国際会議に応募したというだけでも、たいしたものです。日本にはこんなに元気のある若者がいることがわかり、嬉しく思いました。クラーク(William Smith Clark)博士(北海道帝国大学農学部の前身の札幌農学校の初代教頭)の有名な"Boys, be ambitious! "(少年よ、大志を抱け)という言葉を思い出しました。
審査は、先に提出されたエッセイの内容と、口頭でのプレゼンテーションと質疑応答などを慎重に判断して、2名を選びました。この2名は、ヨーロッパ、北米、中南米、アジア、オーストラリア、ニュージーランドの計39ケ国から選ばれた代表たち計100人と一緒に、今年の8月24日~28日にオーストラリアの首都キャンベラに集まって討議をする予定です。審査結果の発表は3月に入ってから世界同時に行われるようです。
それにしても、このような企画を実行するには莫大な予算がかかる筈ですが、それをサポートするバイエルクロップサイエンス社というのはさすが国際的大企業だなと思います。
http://www.cropscience.bayer.com/Media/Press-Releases/2014/Global-Youth-Ag-Summit-will-take-place-in-Australia-in-2015.aspx

審査員は審査終了後、近くのレストランに集まって6時から9時頃まで会食をしながら反省会をしました。審査会のメンバーの一人だったバイエルクロップサイエンス社の社長はドイツ人で、タイや中国や韓国など海外勤務経験の長い人ですが、会食の時に、一般論として日本人の若者を同じ年代の外国人と比較すると目的意識(いわゆるいい大学を卒業していい会社に就職したり、公務員になって安定した生活をすること以外)があまりなく精神的にちょっとひ弱なのではということが話題になりました。それは、私が46年前の1969年に初めてアメリカに留学した時にアメリカの子供たちと日本の子供たちを比較した時に感じたことと似ています。日本では、多くの子供たちは大学に入るまでは親の庇護(ひご)の下で塾通いやお稽古事や受験勉強に追われる生活をしますので、世界に目を向けたり、自分で汗水を流して働いてお金を稼いだり、人生の目的を考えたりする機会があまりないということが関わっているのかもしれません。そんな中で、今回の世界若者農業サミットに応募してチャレンジした若者には、例え日本代表として選ばれなかったとしても、彼らの今後の人生の活躍を期待してエールを送りたいと思います。