2015年7月1日水曜日

中国産のスイカを包丁で刺すと泡が噴出したというニュースがネットに流され http://docobt.blog11.fc2.com/blog-entry-5881.html 、先週金曜日のTBSテレビの「ひるおび」という番組でも紹介されました。私も農薬が原因として関わっている可能性について電話取材を受けましたので、担当者がそのコーナーのDVDを送ってくれました。DVDを再生してみると、千葉県農業大学校の先生が、接ぎ木の台木に使う夕顔の種子がウイルスに感染している場合に、種子消毒をしないで苗を育てると、ウィルスがスイカに感染して発病させた可能性があると説明していました。その場合、スイカの果肉はブヨブヨのコンニャク状になるとのことでした。一方、中国だから(食の安全を無視して何でもあり得ると一般に思われている)ということで、成長促進剤を無茶苦茶使ったことが原因に違いないという説も紹介していました。私のコメントも、もし農薬が関わっているとしたら、病害虫防除の薬剤ではなく植物成長調整剤が不適切な使い方をされたのかもしれないという推察でした。
その後、私が入手した千葉県農業総合研究センターの研究者(伊藤実佐子ら)が2003年に発表した下記研究論文によると、腸内細菌がスイカの果実花落ち部から侵入して果肉を腐敗させて、白い泡を噴き出させたとなっていました。論文に載っている写真は、上記ネットに載っているスイカの症状とよく似ています。しかし、上記ネットに載っている動画・写真では、スイカは少なくとも表面上は固く張ってパリパリしていて、包丁の先を突き刺すと花落ち部に限らずどこからでも白い泡が噴き出していますので、ブヨブヨのコンニャク状とは明らかに違う症状のように見えます。もしかしたら、スイカが泡を吹くという症状は似ていても、複数の原因があり得るのかもしれません。

しかし、少なくとも泡を吹いているスイカから腸内細菌が検出され、分離した菌を果実花落ち部に接種すると泡を噴くスイカの発病が再現されたのですから、腸内細菌が一因であることは事実の筈です。腸内細菌は堆肥(厩肥)として畑に施用した家畜の糞や、肉や骨の乾燥粉由来だとすれば、食の安全上ちょっと不安を感じます。有機農業ブームの折り、病害虫防除に農薬代替資材として使われるいわゆる植物抽出液の類(たぐい)の危険性だけでなく、一昨日6月29日のブログでも言及しましたが、化学肥料の代わりに使われる堆肥(厩肥)の危険性についても、注意を払う必要がありそうです。

来週、再来週と講演が続いて、新しく出会う多くの方々との名刺交換がある筈ですので、いつも利用している印刷店に行って一箱(100枚)注文してきました。