2017年1月5日木曜日

昨日は元NIEHS(National Institute of Environmental Health Sciences 米国国立環境健康研究所)勤務の友人Dr. Buck GrissomからChronic Fatigue Syndrome(CFS 慢性疲労症候群)に関する下記の情報が送ってきました。
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/65/wr/mm655051a4.htm
原因は不明で、治療方法は不眠治療や十分な休養をとるなど対症療法(Syndrome Management)しかないとのこと。

さっと目を通してそんな病気があるのかと思っていましたが、今日はネットに小児慢性疲労症候群という病気(症状?)があって、脳の「やる気」領域の活動低下が関わっているという記事が出ていました。
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201611/0009669436.shtml
fMRI(機能的磁気共鳴画像装置)という機器を使って同症候群と健康な子供(平均14才)の脳の血流を比較して、患者グループではドーパミン神経が集まる「線条体」という部位の刺激に対する活性化が低いことが観察されたとのこと。
「やる気」のような人間の気分の問題が、脳の中のどの部位の異常と関わっているか可視化できるのですから、基礎医学の進歩は大したものです。いずれ治療方法の開発につながればいいなと思いました。

農薬工業会の2017年賀詞交歓会が東京大手町の経団連会館2階の経団連ホールで開催され、私にも案内が届きましたので出席してきました。農薬工業会の会員会社の幹部の他に、農薬に関わっている所管官庁の担当者、私のようなアカデミア(大学等)で農薬に関わっている人たち、その他が集いました。
平田公典農薬工業会長(日産化学工業取締役専務執行役員、名古屋大学の私と同じ研究室の後輩)の開会の挨拶に続いて、来賓の官庁を代表して農水省消費・安全局の瀬川雅裕農産安全管理課長が挨拶しました。小池好智農薬工業会副会長(クミアイ化学工業代表取締役社長)の乾杯の音頭で会は始まり、西本 麗農薬工業会副会長(住友化学代表取締役専務執行役員)の中締めの挨拶で閉会しました。

工業会代表も官庁代表も、日本農業と農薬を取り巻く情勢報告を含めて、さすがに隙のない、無駄のない、需要事項をしっかりカバーした密度の濃い挨拶ばかりでした。
私は、選び抜かれた言葉の裏側で、行政と業界の隠れた駆け引き(牽制)があるように感じました。特に、農業生産費を低減して我が国農産物の国際競争力を高めるという政治的至上命題の下に、農薬の末端価格を下げさせるために医薬のようにジェネリック農薬をもっと導入・普及させたい、そのためには原体規格を導入して、農薬取締法の見直しまで視野に入れようとする行政と、従来厳しい規制の下で良質かつ安全な農薬を開発・提供してきたという業界の自負とその能力を今後も維持し続けたいという希望の間に、微妙なズレがあるように感じました。日本では行政も業界も優秀ですから、いずれ両方が受け入れ可能な解決法に至るのではと想像しています。