http://www.rosemary-park.jp/
安倍先生と私は名古屋大学大学院時代に同期(講座は別)ですが、久し振りにお会いしました。
芝生育成圃場は2ケ所あり、片方はすでに芝が繁殖して緑のカーペットのようになっていましたが、もう片方はまだ植えたばかりで、砂の移動を防ぐために被せた生分解性の白いシートが残っていて、芝は今から根が張って繁殖する段階でした。これを2019年までに厚みのあるしっかりした芝に育てて、機械で剥がしてロール状に巻いて新国立競技場に張るのだそうです。2020年の東京オリンピックの陸上競技がこの芝生の周りのトラックで行われたり、もし芝生の上でサッカーやラグビーのような競技も行われるとしたら、りっぱな芝を育てることは日本の名誉が関わる重大責任です。また、世界中の人々がオリンピックゲームのテレビ中継でこの緑色の芝を見ることを想像すると愉快な気分にもなります。
場所によってはもぐらの侵入も見られましたので、病害虫・雑草の防除に加えてもぐらや後述するイノシシによる獣害防除もしなければなりませんので、2019年までに移植できる芝を育てるのは大変なプロジェクトです。
圃場の周りには山があってイノシシが出てきますので、隣接する水田はイノシシ除けの電気柵で囲まれていました。芝生もやられるといけないので、ちょうど電気冊を設置しているところでした。水田には暗渠排水設備が敷設してあり、過剰の水は小さな水路に排出するようになっていました。芝生育成圃場の水も同じ水路に排出し、どんどん川と呼ばれる小さな川から館山湾に流入することになります。
どんどん川には地元のNPOの方々が河川浄化目的でEM菌を投入しているとのことでした。
http://www.city.tateyama.chiba.jp/anzen/page000681.html
http://awanew.com/archives-awanew/00--oldnew-nature-.html
一方で、EM菌を投入しても水質浄化効果はなかったという検証結果もあるようです。
http://warbler.hatenablog.com/entry/2016/05/04/211415
芝生育成圃場では必要になった時には若干の農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤)も使う筈ですので、大雨時などに流亡した農薬が川を汚染して水質を悪化することがあってはなりません。そこで、どんどん川の上流域、中流域、下流域ごとに定点を設定して、これから月に一度ぐらいの間隔で水質調査を行うことにしました。そうすれば、万が一農薬が水田から流出したり、芝生育成圃場から流出した時に水質にどういう影響があるか科学的に判断する情報が得られる筈です。ついでに、EM菌投入が水質にどういう影響を及ぼしているか推定する情報も得られるかもしれません。実際の調査は私がアメリカから帰国してからですから、11月からになりますが、最低月に1回の頻度で現場に行っていろいろ水質の調査をするのは楽しみです。中流域の水路には横の住宅からの生活排水が流入しているように見えるパイプもありましたので、これらが今でも使われているのかどうかも確かめる必要があります。
山村には廃屋もあり、耕作放棄田もあり、周りの小高い丘には縄文時代の遺跡(住居跡または墓地跡)と想像されている横穴もいくつありました。戦争中の防空壕のようにも見えます。面白そうなので、今度資料を調べてみようかと思いました。
視察後、車をドライブして平砂浦に行き、植樹したマツの苗がどこまで育っているか見てきました。何年か前に安倍先生と私も参加し、館山市長が開会の挨拶をした植樹祭の時に植えた陸地に近い方のクロマツは大きく元気に育っていました。今から50年後ぐらいには、りっぱなクロマツの松原が再生されることを期待しています。