2017年9月25日月曜日

千葉大学学術研究推進機構産業連携研究推進ステーション主催の新産業プロデュース活動第25回TLOフリートーキング~園芸へのドローンの活用~という企画が園芸学部の合同講義室で開催され、偶然この企画に関わっている浦和高校昭和36年卒の同期生の石原 裕君からの連絡で知った私も聴講してきました。参加者は約100名で盛況でしたが、千葉大学の学生の姿を見なかったのはちょっと残念でした。
先ず、産業連携研究推進ステーションの北村幸司副所長から千葉大学の新産業プロデュース活動について説明がありました。いろいろな分野で民間企業と大学の共同研究プロジェクトが推進され、平成28年度は386件の共同研究が実施され7.7億円の研究費獲得につながったようです。
次いでイントロダクションとして園芸学部の農業気象学が専門の松岡延浩教授が園芸と農業の違いについて説明しました。
園芸学部緑地環境学科の加藤 顕助教は主に樹木・森林を対象にドローンを用いた植物モニタリングシステムについて、(株)ビジョンテックの小花和宏之主席研究員はドローンに搭載したハイパースペクトルカメラで撮影した画像から復元した三次元形状がいろいろな分野で貢献できる(例えば人が立ち入れない災害地の状況把握など)ことを説明しました。
千葉大学の近藤昭彦教授は、主に水田を対象にドローンが活躍できる分野として、農薬や肥料の効率的な散布に加えて、生育診断や収量予測までできることを説明しました。そのようにして栽培されたお米が、埼玉県では「どろーん米」としてブランド化されて5キロ3.000円で取引され、新潟県では「天視(てんし)の米(まい)」としてブランド化されて5キロ5,000円で取引されている例を紹介しました。ネットで見ると5キロ2,000円弱が通常価格のようですから、大変な付加価値になります。
最後の講演は、野波健蔵千葉大学名誉教授が園芸施設におけるドローン技術の活用の可能性について、夢のある説明をしました。野波先生は私より若干若い年齢で、都立大学(現首都大学)大学院の出身で、千葉大学工学部教授時代は理学部・工学部・園芸学部で構成された大学院自然科学研究科の教授会で私とも同席していた筈です。ドローンに関する日本の第一人者で、現在は株式会社自律制御システム研究所(ACSL)の代表取締役CEOと一般社団法人日本ドローンコンソーシアム(JDC)の会長の任にある研究者です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E6%B3%A2%E5%81%A5%E8%94%B5

野波先生の講演で私にとって一番面白かったのは、施設栽培のトマトを例に受粉作業をするミツバチの代わりにドローンが花から花に飛び回って花粉を集めて相互交配をするというアイデアでした。どの程度実用化・普及しているのかという私の質問に、まだ試験研究段階で実際にはそれほど普及しているわけではないとのことでしたが、リモートセンシングで花を認識して自律制御システムで自由に飛び回ってヒトやミツバチよりも効率よく受粉作業をしてくれる日が遠からずくるかもしれないと思わせました。今は社会では車の自動運転が注目を集めていますが、農業・園芸分野でも将来はドローンやロボットが人間の代わりをしてくれる時代が来るのでしょう。
現在日本ではドローンを作っている会社は約20社あるそうですが、農薬散布でも、バッテリー持続時間が短いという問題については、例えばガソリン発電機を搭載して時速50kmで3時間40分飛行し続ける例や、2機を交代に使って1機が飛行中にもう1機は充電パットに着陸して充電をするという仕組みも考えられるとのことでした。

会場にはドローン関連企業何社かが展示をしていました。
私にとっては、想像していた以上にドローンの技術の進歩と将来の可能性を認識できてよい勉強になりました。