2017年9月27日水曜日

樹木医の田中一二三さんは千葉大学園芸学部の古い卒業生で、福岡に在住ですが、長年勤務した海の中道海浜公園で松枯れについて研究し、2003年から根系癒合によるマツノザイセンチュウの隣接木への移動・感染について研究・発表をしています。多分82才ぐらいではないかと思いますが、今でも研究心旺盛で、昨年の松枯れ防除実践講座が青森で開催された時も、今年神戸で開催された時も参加して、私の講演を聴いてくれました。
事前に講演要旨や報告書の別刷りを送って下さいましたが、その中に殺線虫剤の樹幹注入によって根系癒合で移動・侵入するマツノザイセンチュウを防げるという試験結果が記述されていました。今年会場でお会いした時に、どういう試験をされたのか訊いてみたら、後で資料を送ると言われました。
その資料が今日届きました。第66回日本森林学会九州支部大会(2010年10月9日に長崎大学で開催)で発表されたスライドで、根系癒合が起こっている4ケ所のマツを使って、1~数本樹幹注入をし、残りの癒合木にはマツノザイセンチュウを人工的に接種して、発病状態の観察、根における線虫の分布調査、マツ頂端における薬剤分析など、上手な試験設計がされていました。