2017年9月28日木曜日

私の千葉大学時代の研究室の卒業生の水野耕一郎君は長野県下伊那郡松川町でリンゴとナシを栽培する果樹園をやっていますが、今年のナシ(品種南水)の収穫時期になったら送って下さいと注文しておいたら今日届きました。いつも感心しますが、こんな大きなナシがたくさんなったらナシの木の枝が折れるのではないかと思うほどりっぱなナシです。妻が早速代金を振り込むと言っていました。


マツの根系癒合を介して隣接木に移動・侵入してくるマツノザイセンチュウに対して、田中一二三さんたちの試験研究では殺線虫剤の樹幹注入で防除効果があるという結果でした。
私たちは、樹幹注入した殺線虫剤は大半が枝先からの水の蒸散に伴って上方移動することが知られていますので、三保松原で観察された殺虫剤の予防散布と殺線虫剤の樹幹注入の両方をされて枯死したマツはマツノザイセンチュウが癒合した根系を通って移動・侵入してきたせいと考察しました。
田中さんたちの観察結果と私たちの考察が何故異なったのかを考えてみました。樹幹注入される殺線虫剤の有効成分は現在6種類あり、3種類は水溶解度が高く、3種類は水溶解度が低いということに気が付きました。三保松原で使用されたのは水溶解度の高い殺線虫剤酒石酸モランテルで、田中さんたちが使用したのは水溶解度が低い殺線虫剤エマメクチン安息香酸塩でした。
もしかしたら、樹幹注入された殺線虫剤の水溶解度によって、樹体内での挙動(上方移動、下方移動)に違いがでてくるのかもしれないと想像しました。そういうことを試験した研究報告があるかどうか、今度田畑勝洋博士に訊いてみようと思います。