修法ケ原池を取り囲むように見事なアカマツ林がありました。
道木柳太森林整備事務所長の説明では、平成23年(2011年)に予算が付いて、360本のマツに樹幹注入剤を施工したとのことで、多くのアカマツ(一部クロマツも)には施工済票が貼ってありました。しかしラベルの字は消えかかっていてよく読めませんし、注入した殺線虫剤もグリンガードファミリーとなっているだけなので、グリンガードなのか、グリンガード・エイトなのか、グリンガードNEOなのかわかりません。防除効果が7年間持続する薬剤だったとしても、来年は7年目なので、それ以降どうするかは大きな問題でしょう。
遊歩道の脇やそこから下がる崖の途中に、松くい虫被害木を伐倒した丸太や枝条(小枝)が放置してありました。伐倒木は次世代の発生源になりますので、必ずシートを被せて燻蒸処理や殺虫剤処理や昆虫寄生微生物資材で処理しなければいけないのですが、伐倒木が放置してある場所から判断すると、どうも適正な駆除処理をしないまま放置してあるような印象を受けました。
また、遊歩道上の伐倒された根株と隣接する生立木の根系が癒合している可能性が高いマツもありました。
もし私の想像が当たっていれば、的確な防除が行われていないということですから、再度公園だけで毎年約100本のマツが枯れるのは当然ですので、いずれこの見事なアカマツ林は消滅してしまう可能性があります。
実習指導は石川県農林総合研究センターの千木 容樹木医の担当でしたが、今回の実践講座の参加者数は、関係者を除いても100人を超えていましたのでそれだけの人数に野外で話をするのは大変でした。
樹幹注入実習はそれぞれの注入剤を扱っているメーカーの社員が担当しましたが、特にマッケンジーの方は施工時間が短いというメリットがある反面、効力持続期間が1~2年ですので、毎年あるいは2年に1回ドリルでマツに穴を開けて傷つけなければならず、穴はいずれ巻き込みによって塞がるとは言え、参加者の樹木医によってはとうてい認められないと批判をする人もいました。
昨日の私の講義の中で、クロカミキリによる根の食害の事例を紹介して写真も見せましたが、再度公園でもクロカミキリと思われる成虫がアカマツ幹から1頭と株元の地面から1頭、見つかりました。
帰りはチャーターした三宮行のバスに乗り、私は新神戸で降りて新幹線で東京に戻りました。新神戸の駅前には見上げるような高層ビルが建っていました。