2017年11月8日水曜日

農薬工業会は毎年浅草(あさくさ)の浅草(せんそう)寺で虫供養を行います。私にも案内が届きますので、毎年参加するようにしています。虫供養というのは、元々は田んぼのお米を収穫するために害虫防除をして殺した虫の霊を慰めるための供養という意味があるようです。
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農薬工業会の場合は、農薬開発の段階で供試生物として使った昆虫、微生物、植物、動物、魚などに感謝をするという意味と、それを機会に参集する人の間で交流を図るという意味があるのでしょう。
人間の命を支える食料の生産に損害を与える病害虫・雑草を防除するのは当然のことですが、病害虫・雑草も自己の種の保全と繁栄のために生きている命ですから、人間のために犠牲になったそれら生物に感謝しその霊を慰めるというのは、仏教的な考え方なのかもしれません。キリスト教に基づく西欧文化にもこういう考え方があるのかどうか・・。
実際には、参加者は本堂に靴を脱いで上がってご本尊の前の板の間に座って、高位の住職1人とお付きの住職6人が25分間ぐらいお経を唱え、その間にお焼香をするというセレモニーです。その間、すぐ後ろの本堂前の巨大な賽銭箱には賽銭を投げ込む音がひっきりなしにうるさい程聞こえていました。
ご本尊の横に立ててある豪華な供花の寄贈者の名前は、時代を反映しているのでしょうかほとんどが中国人名か韓国人名でした。
地下鉄銀座線の浅草駅から雷門を入って、仲見世通りを歩くと大勢の参拝者(観光客)で溢れていました。外国人にも東京の観光スポットの一つとして紹介されているのでしょう。明らかに外国人をターゲットにした商品を並べている店もたくさんありました。
東京の交通の便のいい場所にありますのでやむを得ないのでしょうが、本来の仏教の修行の場や静かに祈りを捧げる場というよりも、観光の場、商売の場として栄えているような気がしました。











虫供養が終わってから近くの精養軒に移動して懇親会があり、久し振りにお会いする方々と情報交換をして交流しました。農水省の農薬管理行政を所管している役所からも2人参加していて、農薬工業会の会長の挨拶の中で、農薬登録の再評価制度の導入について農薬工業会と役所の間で話し合いが行われているという報告がありました。また、平成29年度(平成28年10月~平成29年9月)の農薬出荷金額は3千3百10何億円で前年比102という速報値が紹介されました。
私は久し振りに浅草界隈に出かけましたので、酔い覚ましの意味も兼ねて夜の上野公園とアメヤ横丁を少し散歩してみました。私が小学生だった頃、父がブラジルに移民する前に一緒に上野公園に来て、西郷隆盛の像の前で手を合わせて頭を下げていた姿を思い出しました。父の先祖は鹿児島県(姶良郡牧園町)出身で西南の役の時に西郷派だったので、西郷軍の敗戦後奄美大島に移住したと聞いていますので、西郷隆盛は父にとっても英雄的な存在だったのでしょう。
西郷隆盛像のすぐ近くには、明治維新の時に反対に徳川将軍を守る立場だった彰義隊の墓地があり、面白いなと思いました。
アメヤ横丁は、戦後物資がなかった時代に、アメリカの進駐軍の払い下げ品を安く売っていたところからこの名前が付いたのでしょうが、よく年末になると母と一緒に来て、母がお正月料理の準備をするために大きな塩サケや数の子(ニシンの卵)やキムチの材料などを買っていたのを思い出します。