2018年4月3日火曜日

中国での講演の準備として、農林水産省消費・安全局植物防疫課を訪ねて、あらかじめ依頼をしておいた日本における航空防除の歴史と現状について情報を提供してもらいました。
約束の時間に遅れないように少し早目に自宅を出発しましたが、途中白と赤の2色の花が咲いている1本のモモ?の木がありましたので、写真を撮りました。現職だったら、何故こういう現象が起こるのか遺伝子を解析してみたい気がしますが、実際はこういう分野の研究者にはとっくに解明されていることだと想像します。


地下鉄霞ヶ関駅を下りると、中央官庁案内図の看板があり、ちょうど今不祥事でメディアを騒がせている財務省(記録改ざん問題)や防衛省(記録隠ぺい問題)や、ちょっと前に騒がせていた文部科学省(加計学園・森友学園問題)や厚生労働省(正規・非正規労働者の勤務時間問題)などがどこにあるかが全部載っています。
農林水産省本館には今までも何回も来ていますが、入り口には警備員が配置されていて、受付で書類に氏名や訪問目的等を記入すると通行証(磁気カード)を渡され、それをゲートにタッチすると入館できます。
いつも本館の入り口を入るとすぐのところに展示コーナーがあって農林水産省らしい何かが展示してありますが、今日はリーガース・ベゴニアが展示してありました。約束した時間より少し早く到着しましたので、しばらく展示を観察して時間調整をしました。






植物防疫課は別館の4階にあります。防疫対策室の課長補佐のS氏が対応してくれましたが、あらかじめ入手したい情報を通知してありましたので、必要な情報を集めてきちんと整理してあり、約1時間丁寧に説明してくれ、追加の質問にも答えてくれました。今は社会では、いくつかの不祥事から官僚が袋叩きにあって、政治家からも責任を押し付けられている状況で、メデイアや評論家もすぐ官僚を自己保身優先、無能呼ばわりしがちですが、私は農業資材審議会委員を10年間務めて彼らと二人三脚で農薬管理政策に関わった経験から、実際はそうではなく官僚の多くは使命感を持って非常に頑張っているということを知っています。今日私に対応してくれた課長補佐も、その中の一人だと思いました。
農林水産航空事業の歴史の中で、有人ヘリコプターによる防除は昭和28年(1953年)の北海道と石川県における航空防除試験が最初で、実際には昭和33年(1958年)の水稲いもち病の航空防除から全国的な普及が始まったとのことでした。
平成元年(1989年)には水稲防除における有人ヘリコプターの散布面積は170万haだったのが、少しずつ無人ヘリコプターの割合が増えていき、平成29年(2017年)には無人ヘリコプターが89万ha、有人ヘリコプターが3万haと逆転していることがわかりました。
小型の無人航空機ドローン(マルチコプタ-)について面白かったのは、平成27年(2015年)に首相官邸にドローンが墜落した事件をきっかけに安全性を確保するために国土交通省が所管する航空法が改正され、農薬散布についても国土交通省の承認が必要になったということです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%96%E7%9B%B8%E5%AE%98%E9%82%B8%E7%84%A1%E4%BA%BA%E6%A9%9F%E8%90%BD%E4%B8%8B%E4%BA%8B%E4%BB%B6
平成29年度の速報値では、ドローンの作業面積は水稲防除が7,000ha、麦類防除が700ha、大豆防除が500ha、その他が100haで合計8,300haに達し、前年の684haから10倍以上増加しているということがわかりました。
その他にも、無人航空機の機体の機能・性能の確認作業や、操縦者の技能の確認作業や、無人航空機散布農薬の農薬登録(適用拡大)の手続き等、私が知りたかった情報はほとんど全て入手できました。

これらの情報と、私たちが過去10何年かにわたって現場で調査研究してきた航空散布農薬の飛散実態や健康影響評価の結果とを合わせて、中国での講演の原稿とスライドを作成するつもりです。明日と明後日の2日間が勝負です。
中国の熱帯農業科学院に勤務している私の千葉大学勤務時代の留学生だった林 勇博士から国際電話があり、4月9日には空港に迎えに来てくれるとのことでした。現地の気候はどうですかと訊いたら、25~28℃ぐらいだとのことでした。