2019年9月6日金曜日

宿泊したホテルから野外実習が行われた気比(けひ)の松原までは、石川県から車で来ておられた千木 容氏に送っていただきました。海岸には気比の松原は国有林であることを示す看板が立っていて、気比の松原の伝説を刻んだ石碑も立っていました。海岸は湾になっているのか、日本海は見えませんでした。砂の関係か水は透明に澄んでいました。この景色を見るだけで心が洗われるような思いがしました。さすが、三保の松原(静岡県静岡市清水区)、虹ノ松原(佐賀県唐津市)と並んで日本の三大松原と言われるだけあって、素晴らしい景観です。



 






すぐ隣接した山は民有林だそうですが、明らかに松くい虫被害木が何本も放置されていました。昨日の講義でも指摘された通り、所有区分が違うことで感染木が伐倒駆除されずに放置されていると発生源が存在するので防除効果が上がらないということになります。
汀線近くはクロマツの大木があり、住宅地に近い方はアカマツとの混合林分になっていました。比較的最近落雷で樹皮が縦に裂けた樹が1本ありました。株元にフラスが盛り上がっている樹があり、フラスを除くとオオゾウムシが侵入した丸い穴が見えました。













 



実習では感染木かどうかの簡易検定法としてポンチを打って穴を掘って松脂の漏出を観察しました。観察の終わった穴はカルスメイトで塞いで修復しました。
マツノザイセンチュウが樹体内に存在するかどうかをDNA診断するための材片採取の実習もしました。
その他にも、殺線虫剤の樹幹注入、殺線虫剤の土壌施用、伐倒木の被覆・燻蒸処理、伐倒木の被覆・粘着シート処理の実習もしました。従来の伐倒駆除には生分解性(放置しても分解されるので環境汚染しない)の被覆材が使われてきましたが、最後の実習で使われた被覆材は5種5層農業用POフィルムの「スカイコート5」(厚さ0.13mm)(シーアイ化成製)で、これだけでマツノマダラカミキリ成虫が噛み破って脱出できない被覆材のようで、殺虫目的達成後回収して再利用できるとのことでした。ただ、被覆するだけで殺虫できるのだったら、粘着シート(井筒屋化学産業株式会社製)を中に入れなくてもいいのではないかという質問が参加者から出されたとのことでした。
伐倒駆除に使われる燻蒸剤「ヤシマNCS」(有効成分N-メチルジチオカルバミン酸アンモニウム50%)は、集積した木材表面に散液されると急速に分解、代謝されてガス化(MITC :メチルイソチオシアネート)され、木材内のマツノマダラカミキリやマツノザイセンチュウ防除に有効ですが、劇物相当ですから、人家の近くで使うには細心の注意が必要です。その点最後の実習で使った耐虫性被覆材の場合は薬剤を不使用なので公園緑地などで安全性をアピールできるメリットがあるなと思いました。
マツの幹が根元近くで二股に分かれて片方が枯死した窪みには他の植物が生育していました。少しでもチャンスがあれば繁殖しようとする植物の生命力はすごいなと感じました。







野外実習が終わってから、また千木氏が車で敦賀駅まで送って下さいました。ありがたいことです。予約してあったJR特急しらさぎ14号18:10発まで2時間ぐらい時間がありましたので、周辺を少し散策してみました。敦賀駅には新幹線が通る計画らしく、工事が行われていました。
駅の横にはライオンズクラブが設置した看板とペチュニアの綺麗な花壇がありました。
福井県は北陸ですので、冬には大雪が降ったり吹雪いたりするのか、雪国でよく見られる玄関が二重になった家もありました。
少し離れたところに大きな工場があって、夕方の時間帯だったので大勢の社員が門から退出してきました。東洋紡のフィルム工場のようでしたが、地元の人を大勢雇用してりっぱだなと思いました。
東洋紡の工場の隅にあるカラマツと思われる木は枯死進行中でした。電気ドリル等道具を持参していれば、材片を採取してマツノザイセンチュウ陽性かどうかDNA診断してみたい気がしましたが、残念ながら道具はもう処分してしまいました。
街角に石造りの小さな新しい社(やしろ)があり、中には顔が風化しかかった古そうなお地蔵様が一体置いてありました。昔から人々に慕われたお地蔵様を、町の景色が変わってもこうして大事にするところは、日本の文化なのでしょう。
松戸の自宅に着いたのは夜の11時近くでした。

次の講義は11月22日(金)のつくば研修センターで開催予定の松保護士研修会ですが、私は10月は渡米してほとんど日本にいませんので、今月中にある程度の講義計画と資料の準備を始めなければと思っています。