宿泊は駅のすぐ前のルートインを予約してありましたが、その横には福井大学付属国際原子力工学研究所の建物がありました。福井県には原子力発電所があるので、国内・国外からの研究者や研修生を招く拠点かなと想像しました。
第15回松枯れ防除実践講座が開催された敦賀市南公民館は駅から歩いて2~3分のところにありました。
初日のプログラムは:
1. 来賓挨拶
松永彦次氏(近畿中国森林管理局計画保全部長)
竹内英治氏(福井県農林水産部森づくり課長)
2. 報告「福井県における松枯れの現状と対策について」
田中康晴氏(福井県農林水産部森づくり課森林資源活用G主任)
3. 特別報告「日本海側における冬期の予防対策と技術者養成、地域連携の事例に ついて」
千木(せんぎ) 容氏(石川県農林総合研究センター林業試験場/日本樹木医会
北陸地区協議会会長)
4. 特別講義1「マツ枯れのメカニズム、総合防除の考え方と現場の課題」
中村克典氏(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所東北支所
生物被害研究グループ長)
5. 特別講義2「被害の沈静化に至らない実態の背景と課題について」
本山直樹(千葉大学名誉教授/東京農業大学総合研究所研究会農薬部会長)
いずれも私にとっては興味深い内容でした。特に千木 容氏のクロマツとアカマツの性質の違いの説明や、樹幹注入をする時間の問題(早朝は針葉からの蒸散量に比較して根からの水の吸い上げ量が少ない)や、伐倒・玉切りした枯死マツの燻蒸を海岸の砂地で実施すると効果が低いという経験に基づいた指摘や、松林にニセアカシアが侵入するとアレロパシイでマツ根が伸長できないことを示す写真や、地方自治体は県有林の防除はできても民有林には手が出せないので地域連携の仕組みを構築することが重要という指摘など、勉強になりました。
中村克典氏の講義も大変勉強になりました。アカマツはクロマツに比べて大気汚染に弱いということや、海外から日本に侵入したマツノザイセンチュウと在来のマツノマダラカミキリは共生関係にあると言っても、厳密に言えばセンチュウがカミキリから栄養を摂取している「寄生」関係ではなく、単に「便乗」しているだけの関係だということや、アカゲラや昆虫寄生菌や捕食性昆虫のような天敵は、マツノマダラカミキリの殺虫率が90%を超えると自分が生存できなくなるので、防除では補助的な役割しか果たせないという指摘は勉強になりました。また中村氏は、マツノマダラカミキリはセンチュウが侵入して樹脂の分泌が止まった樹だけを選んで産卵するのではなく、風害で倒れたり幹折れして弱った樹にも誘引されるので、マツノマダラカミキリが羽化脱出する夏の時期に生立木を密度調整(間引き)の目的で伐採するのは被害拡大につながるので止めた方がよいと指摘しました。伐採されたマツの丸太にもカツノマダラカミキリが誘引されて産卵することを示す調査結果か試験データがあるのかどうか、今度どなたかに確かめてみようと思います。
私の講義では、今回は「農薬の基礎知識」として農薬が登録されるにはどういう安全性に関する試験がされているかを追加しました。それと、予防散布を中止したらどうなるかをいくつかの県の実例を紹介し、2004年以来過去15年間に亘って実施してきた散布薬剤の飛散調査と健康影響評価の結果、安全性に問題はないという実態を説明しました。私の講義も好評だったらしく、講義が終わってから何人かの参加者からずい分多くの質問を受けました。
参加者全員での懇親会はありませんでしたが、主催者の日本緑化センターの担当者と講師で居酒屋で割り勘での夕食会がありました。