2010年4月13日火曜日

 今日は私の研究室の博士研究員と一緒に茨城県常総市にある(財)残留農薬研究所を訪ね、実験動物(ラット)の精子数の測定方法の研修を受けてきました。農薬 を登録申請する時に要求される安全性に関する試験の一つに繁殖毒性試験というのがあって、実験動物に2世代に亘って毎日農薬を投与し続け、繁殖に影響がな いかどうかを3世代目まで検査します。親動物だけでなく、胎児や乳児も含めて、産子数、性比、形態、発育速度、行動など繁殖に関わるあらゆる項目について 異常がないか観察しますが、雄の精子数も対照の無処理雄に比べて変化がないか調べられます。本Webサイトの過去記事#1と#13で、毒物相当の殺虫剤ア バメクチンが混入されていた「ニームオイル」問題について紹介しましたが、殺虫剤が混入されていなくても、ニーム油には多くの有用な効果の他に、途上国で は伝統的に男の避妊薬として使われてきたという実績がありますし、実験動物に投与すると雄の精子数が減少することを報告した科学論文もあります。我国でも 多くのニーム油製剤が農薬代替資材として輸入・販売されていますが、それらの中には未精製のニーム油と有効成分が精製されたニーム油があるようですので、 私たちの研究テーマの一つとしてニーム油の安全性評価の一環として、ラットに投与して精子数への影響を調査する準備を進めているところです。



前回の追記(2010年4月11日)で言及したNHKテレビのクローズアップ現代の「犯罪“加害者”家族たちの告白」という番組については、支援者の中に もご覧になった方がおられて、被害者の場合も加害者の場合も、それぞれの家族の苦しみを見ると涙が流れますというメッセージをいただきました。市橋君の適 正な裁判を支援する活動を批判する方々には、是非見ていただきたかった番組でした。



リ ンゼイさんのご遺族の渡航旅費を支援する募金活動を私がするべきかどうかについては、いろいろな方からご意見が届いていますが、決めるまでには時間がかか りそうです。お父様がテレビに出演して、怖い顔をして「市橋に極刑を求める」と訴えたことが、多くの日本人に逆効果をもたらしたような気がします。若い時 に読んだ「歎異抄」の影響かどうかはわかりませんが、私には、被害者と加害者を対立的にみるのではなく、両方とも救われるべきという気がしています。