2010年7月16日金曜日

 今日は用事がありましたので菅野弁護士の事務所を訪ねて、市橋君の最近の様子や7月12日に行われた第2回公判前整理手続の様子などを伺ってきました。市橋君は、独居房での処遇は改善されていないものの、前回の時よりも元気をとりもどしているとのことでした。雑居房に入れば、6~8畳(?)くらいの狭い部屋に通常は4人(今は混んでいるので5~6人?)が同居し、時間がくれば床に布団を敷いて就寝し、時間がくれば合図で一斉に起床して布団をたたみ、時間がくれば一斉に食事をする・・というようなプライバシーのない軍隊のような生活になるようです。現在の立場の彼がそういう共同生活での人間関係をうまくやっていけるかどうか、そういう意味では独居房にいることは悪いことではないかもしれません。市橋君には、逃走中に建設現場で他の労働者仲間と共同生活をしてしっかり働いていたという実績がありますので、自分自身を取り戻しさえすれば問題はないと思いますが。

 第1回公判前整理手続で、検察側は死体遺棄罪、強姦致死罪、殺人罪の主張をしましたが、昨年12月23日に市橋君が取り調べの検察官に証言した内容に基づいて検察側が作成した調書では、実際の事件の経過はそのような罪状に相当しないということのようです。つまり、検察側は市橋君は事件の経過を正直に話していないとみなして、調書の内容とは異なる前記の罪を適用したのでしょう。そこで第2回公判前整理手続では、市橋君の証言に基づいて弁護側が死体遺棄罪、強姦罪、傷害致死罪の主張をし、8月17日に予定されている第3回公判前整理手続で、検察側が弁護側の主張を受け入れるか反論をしてくるか(たいていの場合は反論してくる)という段取りになるそうです。

 ひとつのポイントは、リンゼイさんの死亡時刻でしょう。検察側が構築した主張通りだと、死亡時刻は事件の起こった25日朝10時ちょっと過ぎの筈で、市橋君の証言通りだと25日はその後一緒にキング牧師の演説を聴いて言葉を交わしたりしているので、亡くなったのは26日未明(朝2~3時)の頃の筈ですが、検死・解剖所見でそこまで正確な死亡時刻の断定ができないとなると、どちらが正しいかを証明するのは両方にとって難しくなります。
 もうひとつのポイントは、リンゼイさんの死因が正面から殺意をもって首を絞めたことによるのか、静かにさせようとして後ろから腕を廻して口を塞ごうとしてもみ合いになったことによるのか、ということでしょうが、これもどちらが正しいかを証明するのは難しそうです。

 検察側が提出した山のような証拠書類のコピーを最初の1部は指定された高額な場所でとって、それから弁護団全員(6名)分のコピーをとったりしたのに40万円くらいかかったようですが、皆さまから提供された支援金が有効に活用されたとのことでした。また、検察側が提出した検死・解剖所見についても、セカンドオピニオンを求めるために8月になったらある大学の法医学教室に見てもらうそうですが、その場合も旅費を含めて支援金が活用されるとのことでした。皆さまのご支援のお陰で、市橋君に適正な裁判を受けさせることができます。

 明日は明治大学(お茶の水キャンパス)のリバティタワーという建物の教室で、北野 大教授がコーディネーターをしている新領域創造特論2「化学物質の法規制」という講義を担当します。13:00-14:30と14:40-16:10の2回、主として農薬の安全性について別々の内容の話をする予定ですが、学生に加えて大勢の社会人受講生も出席していますので楽しみです。