2010年7月15日木曜日

 7月13日に1名(6回目)の振り込みがありました。振替受入明細票に記載してある現在高は私の記録よりも1万円多いので、多分7月12日に振り込んで下さった方の分の振替受入明細票が遅れていて届いていないのでしょう。それも含めて、支援金の現在高は35,000円、延べ141名からの合計額は1,908,565円になりました。ありがとうございました。

 昨日・今日と埼玉県の熊谷市で農林害虫防除研究会があって出かけていました。農業現場に近い都道府県の試験・研究機関の研究者から多くの興味深い研究発表がありました。私たちが栽培している作物は、野生植物を人間の食用に適するように品種改良して天然防御物質(毒物)の濃度を低くしたり除去してありますので、人間の手で保護してやらないと病害虫に食べられて期待した収獲が得られません。また、生産効率を上げるために、そういう作物を広面積に単一で栽培しますので、自然の生態系のバランスが存在しないということも、病害虫にとっては繁殖するのに好都合な条件になります。そのために、各都道府県に設置してある農業総合研究センター(昔は農業試験場と呼ばれた)が、所管する地域の重要な作物を病害虫による加害から守る技術を研究・開発して、農家に提供するという役割を担っています。

 特に、今まで日本にいなかった病害虫が侵入してきた時は大発生して甚大な被害をもたらすことがよく知られています。まだ今のような進歩した農薬が発明される前の1911年(明治44年)に、アメリカからオレンジやレモンの苗木を輸入した時にイセリヤカイガラムシという害虫が一緒に入ってきて柑橘に大きな被害をもたらすことが予想されましたので、それを防除するためにベダリアテントウムシという天敵(害虫を食べてくれる昆虫)を輸入・放飼して成功したことは古典的な成功事例として教科書にも載っています。現在は、天敵も外来生物の一種と見なされますから、日本固有の生態系や生物多様性に悪影響がないことを確認してからでないと輸入・放飼できません。ここには、食料を生産する農業を大事にするのか、自然生態系を大事にするのかという難しい問題があります。さらに難しいのは、自然生態系と言っても、実は日本列島誕生以来、動物にしても植物にしても昆虫にしても、いろいろな生物が常に海外から入ってきていて、外来生物はいったん定着すれば土着の生物になってしまいますので、日本固有の自然生態系というのは何だろう(存在するのだろうか)という問題があります。
 今日のシンポジウムでの高木正見教授(九州大学)や古橋嘉一博士(元静岡県果樹試験場・現アグロカネショウ株式会社)の講演は、そういう難しさを再認識させてくれました。