2011年2月19日土曜日

昨日の強風(春一番?)とは打って変わって春を感じさせる一日でしたが、今日は私と一緒に研究をしてくれている博士研究員と一緒に茨城県那珂(なか)市にある大森種苗園に行き、松苗を購入してきました。那珂市というのは、水戸市よりも北に位置しますので、千葉県松戸市から常磐自動車道を通って車で片道2時間くらいのドライブでした。大森種苗園というのは、杉・桧(ヒノキ)・松・広葉樹など山林に生える樹木の苗を生産販売している農家(個人会社)ですが、この仕事を始めて40年になるという3代目の当主から、種の採取方法から松の苗をどうやって生産するのかまで興味深いお話を伺いました。周りの家も全部同じ大森という苗字の表札が出ていましたが、いずれも木造で瓦屋根の農家風の大きな家で、家の周りには巨大な石と植木が配置してあり、都会に住んでいる者から見ると、2~3百年はビクともしないだろうと思われるような立派な趣のある家々でした。大森種苗園の納屋兼作業場の屋根の下には神棚みたいなものが造ってあって、珍しいので写真を撮ってきました。一種のお洒落でしょうか、それとも宗教的な意味があるのでしょうか。田舎に行くと、こういう原日本的な風景がまだ残っていて、感動します。
納屋の軒下の飾り(神棚?)
通常のクロマツの苗50本と、松くい虫に抵抗性のクロマツの苗25本を入手しました。これからこれらを鉢植えして、林野庁所管の森林総合研究所から分譲してもらう予定のマツノザイセンチュウ(マツノマダラカミキリという昆虫がこれを媒介して松枯れを起こす)を接種して、どうやって松が枯れるのかに関する私達の新しい仮説を検証する実験と、マツノザイセンチュウに寄生された松(通常は治療方法がないので一度寄生されると100%枯れる)を治療して回復させる方法の開発を試みようと思っています。うまくいけば、実際に海岸や山で生育している大きな松の樹を使って試してみるつもりです。研究ですから、仮説通りうまくいかない可能性の方が大きいかもしれませんが、駄目で元々で、万が一うまくいけば、千葉県だけでなく日本全国の松林を復活させられるかもしれないと夢を描いています。

松苗の生産圃場