2011年8月14日日曜日

何人かの支援者から、今まで市橋君宛に出した手紙や差し入れした本がちゃんと届いているかどうか確認してほしいというお便りがありました。今週接見しに行く時に本人に確認してみるつもりです。

一人の支援者からは、差し入れした本について以下のメールをいただきました。これから長期間服役しなければならない市橋君にとって、これらの本が心の支えになればいいなと思います。
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前から本の差し入れをしたかったので、2冊差し入れました。
1冊は、もしかしたら既に持ってるかも知れませんが…手記の中で『ライ麦畑でつかまえて』が大好きで、読んでいて気持ちがよくて手元に置いておきたい本として、沖縄に行く時に持って行ったと有りましたので、原書『The Catcher in the Rye』を差し入れました。
もう1冊は『人間になる/ジャン・バニエ』を選びました。下記は、一部抜粋しました。(長文、申し訳ございません。)

ほんとうの人間らしさとは…現代は壊れた世界。至るところに、分裂と孤独と絶望がある。人間の幸せとは、強者となって争いに勝つことではなく、他者に心を開くこと、弱者となってありのままに生きることにある。

〈目次〉 第一章 孤独/第二章 つながり/第三章 排除ではなく、受け入れること…癒しの道/第四章 自由への道/第五章 ゆるし

重大な犯罪を犯し独房に入れられた受刑者。自分がすべて…家族も仕事も行動の自由も、そして尊厳と自尊心までも…を失ったことに気付いて、死にたい気持ちになりました。しかし突然、自分を見いだし愛を取り戻したいという衝動が沸き起こりました。それが恵みの時でした。どん底にたどり着いた時、すべて失ったように思われた時に初めて、この小さな希望の光が輝きだします。その時に、私たちは立ち上がり始めます。光と愛と力が備わって、自分が闇の部分に支配されたくない、心を開くべく一歩を踏み出したいと意欲することが必要なのです。

恐れから解放されたい気持ちが生まれるのは、幸運な時、恵みの時です。あるがままの私たちを愛し信頼してくれる人、つまり私たちの恐れやしりごみの背後にある潜在的(時間をかければ開花する)可能性をすべて認めてくれる人に出会った時にも、この解放されたいという気持ちは起こります。
「幸運な時」に、私たちは本当の自分を意識します…即ちこれまでの人生を支配してきたあらゆる心の傷にもかかわらず、自分が大切な祝福された存在だと気付くのです。そうすると一瞬にして私たちは、もはや恐れや怒り、無関心や復讐心、絶望や自信喪失に支配されなくなります。そして小さな光、つまり生きたいという気持ちが生まれます。人生に希望が戻ってくるのです。

私たちはみな、自分が犯した誤りをすべて、自分の存在の奥深くに押し込める能力があります。そして良心を沈黙させて後悔の念を消し去る巧妙な技術を発達させるのです。
しかし『ゆるしの道』の書物の中で「罪を犯した者が被害者に自分をさらけ出す勇気をもつのでなければ、ゆるしはありえない。これは、痛みを伴う厳しい要求である」と主張しています。


市橋達也さんは聖書を読んでるとの事で、キリスト教信者かは分かりませんが…自由を奪われた生活の中で、罪を償い、精神的に立ち直り、生きがいを見つけだし、長い人生を前向きに過ごせるよう…祈ってます。出来れば力になりたいです。
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別の支援者からは、私が昨日のブログで書いた戦争と平和について、以下のお便りをいただきました。
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昨晩のブログ拝見いたしました。
正直、今まで戦争については大変だったんだーと他人事でした。
ですが、戦争についてきちんと勉強したい、戦争を知らない私達若い世代こそ戦争についてよく知るべきだと思いました。
よろしければ先生オススメの本や資料があれば教えてください。
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私は農学という自然科学分野の研究者ですので、戦争の非人道性について学ぶのに、何がベストかこれがと自信を持って薦めることはできませんが、一応、大岡昇平(1909-1988)が1950年代に書いた、「俘虜記」、「野火」、「レイテ戦記」などを提案しました。最近は、戦争中の悲惨な経験をしてきた筈の年代の知事や政治家までもが日本の軍事力増強や大国主義を公言するようになりましたので、いつか来た道に戻るのではないかとちょっと心配です。何年か前の朝日新聞に掲載された大岡昇平のエッセーで、そういう状況を憂いて、「先の戦争で悲惨な最期を遂げた兵士たちの魂よ、墓場から出てきてくれ!」というような表現が使われていたのが、私の中に強く印象に残っていましたので。

まだ猛暑が続いていますが、私は江戸川堤防を昨日は6km、今日は8kmジョギングしてきました。スポーツドリンクを腰のベルトのボトルホルダーに差して、こまめに水分補給しながらゆっくり走ったり歩いたりしました。暑くて汗ビッショリですが、気分は爽快です。
テレビ番組制作会社のディレクターとは、明後日16日に会ってどういう切り口の企画を考えておられるのか一応お話を伺うことになりました。