2012年2月18日土曜日

今日は午後から東京都渋谷区の国連大学の隣にある東京ウィメンズプラザのホールで、食生活ジャーナリストの会主催の第21回公開シンポジウム「安全と安心の狭間(はざま)-安全でも安心できない消費者の心理と風評被害について-」が開催され、私も昨年に続いて聴講してきました。先ず、中谷内(なかやち)一也氏(同志社大学心理学部教授)による基調講演がありました。中谷内教授は、「安全。でも、安心できない・・・-信頼をめぐる心理学」(ちくま書房新書)という著書があり、社会心理学的に何故安全なものが安心ではないのかを解析されている方です。安全は確率的なリスクの大きさで決まるのに対して、安心できない(不安)は恐ろしさ因子と未知性因子の2つで決まるので、いくら確率的に安全ですよと言っても安心にはつながらない、とのことです。
安全を安心につなげるには、安全を判断できる科学的な能力や公正さに加えて、価値類似性の認識によって信頼を得ることが大事で、そのためには科学的に安全を説得するよりも、安心できない人たちと目線を合わせて目標確認作業をすることが有効とのことです。これは、私が農薬の安全性についてあちこちで講演をして感じていることと全く同じでしたので、なるほどと「目からうろこ」のように納得しました。

パネルディスカッションは、佐藤達夫氏(食生活ジャーナリストの会代表幹事)の司会で、中谷内先生に加えて浦郷(うらごう)由季氏(コープ神奈川組合員理事・ユーコープ事業連合組合理事)と松永和紀(わき)氏(科学ライター)もパネリストとして加わって行われました。松永和紀氏とは私が農業資材審議会委員をしていた時からの知り合いですが、「メディア・バイアス-あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)という著書で2008年科学ジャーナリスト賞を受賞された方です。メディアは本来中立公正であるべきだが、情報は商品化して、売れる情報を発信するようになってしまったという鋭い指摘をされました。つまり、食品でも農薬でも「危ない」は売れるが「危なくない」は売れない情報になるので、どうしても「安全では」ないという情報ばかりが発信される情報災害が起こっているとのこと。普段から何故と思っていたことに対して、大変説得力がありました。

会場の参加者からも興味深い質問や意見が次々と出され、原発被災地福島県の学校給食担当者からの生々しい報告などももっと聞きたいところでしたが、会場の都合で時間がなくなったのは残念でした。関心のある方のために、このような有意義な活動をしている食生活ジャーナリストの会の事務局をお知らせしておきます。
Tel/Fax   042-554-3887  e-mail   ifj-shoku@t-net.ne.jp  ホームページ  http://www.ifj-net.com/

 

東京に出かける前に江戸川堤防を8Km 走ってきました。松戸は昨夜雪が降って、途中坂道の日陰の部分が凍っていて、不覚にも滑ってころんでしまいましたが、別に怪我はありませんでした。明日の朝は6時発の電車で成田空港に向かいます。ローマのホテル周辺の道路の状態はわかりませんが、一応ジョギングできる衣類と靴は持っていきます。パソコンも持参しますのでメールのやりとりはできる筈です。できたらホテルからブログの更新もしたいと思っています。25日に帰国の予定です。