2012年3月26日月曜日

東京拘置所の市橋君宛に、次の手紙と一緒に「支援者リスト最終版」(A4版26ページ)と「空手道教範」(本)を宅配便で発送しました。私と市橋君がどういう会話をしているか、支援者の方々にお知らせするために紹介しておきます。偶然ですが、支援者からのお便りに、今日3月26日はリンゼイさんの命日ですとありました。あれから5年経ったことになります。
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2012.3.26
市橋達也君

321日に面会に行った時は、その前の時(229日)に比べて君の顔色が悪かったので心配しました。一審通り無期懲役のままになるか、有期刑になるかを決める重要な控訴裁判に臨んだのだから、精神的に不安感に襲われても当然だろうけど、被害者遺族の感情移入に大きく影響された裁判員裁判の一審と違って、今度はプロの裁判官による裁判ですから、証拠に基づいて犯罪の重さに相当する適正な判決が下されるものと信じます。
菅野弁護士からは、どういう判決になろうとも、現在の弁護団も検察側もこれ以上の控訴はないだろうとの見通しを伺いました。従って、20102月に立ち上げた「市橋達也君の適正な裁判を支援する会」もこの3月で募金活動を中止しました。以前、手紙の差し入れがあった時に支援者からかどうかが判別できるように支援者リストを差し入れましたが、その後の支援金の振込もありましたので、支援者リストの最終版を同封します。これだけ多くの君とは個人的に無関係の人たちが、君の更生を信じて君に罪を償って前向きに生きてほしいという気持ちで支援をして下さったということを忘れないで下さい。これらの人たちはまるで自分の家族のように、刑が確定してからもずっと君のことを思い、君の更生を見守っていきたいと言ってくれています。
なお、支援者リストの原本には支援者の住所や電話番号、メールアドレス、どういう方かのメモが記載されていますが、個人情報ですので差し入れるリストからは削除しました。万が一にでも漏洩すると、顔を表に出して支援活動をしている私が受けているようなあの手この手の嫌がらせや脅迫の対象になる可能性があるので、このリストの取り扱いにも十分注意して下さい。もし君からこの中の特定の人に礼状なり手紙なりを書きたい時は、私に言ってくれれば住所を差し入れます。
以前から約束していた玄制流の空手道教範も差し入れます。玄制流というのは、沖縄出身でこの本の著者祝嶺制献師範(故人)が創設したものですが、その後組織が分裂して祝嶺先生のグループは躰道(たいどう)という新しい武道に進化し、高弟だった高橋洋一師範(千葉大学空手部創設者)は玄和会という組織を立ち上げました。私は千葉大学時代は祝嶺先生と高橋先生の両方から指導を受けました。アメリカで道場を開いていた時は、基本の型は玄和会の玄和Ⅰ、玄和Ⅱ、玄和Ⅲと、玄制流の人位の型と三才を教えていました。有段者にはナイハンチ、ワンカン、バッサイ小と大、コーショークン小と大などの鍛錬型も教えていました。1978年に日本に帰国する時は、ハイウェイパトロールステーションの施設を使って私が型を演じて英語で解説するビデオを収録して、弟子たちに置いてきました。DVD版を今も持っていますが、刑務所の中では見られないだろうな。君が千葉大学園芸学部の空手部にいた頃は、練習時間が短いということと他の流派の経験者(例えば、少林寺拳法有段者だった〇〇君)が入門してきても一緒にやれるように、型は全くやらずに、主に突きや蹴りや受けの基本と、それを方向を変えて練習する四方突き・蹴りと、約束組手をやっていた筈です。玄制流は体の面が相手から遠いので防御に有利で、かつ多彩な技が繰り出せる(例えば、斜上蹴りや海老蹴り)後屈立ちを中心に稽古をし、玄和会は体の面が相手に近く重心も前にあって攻撃に有利な前屈立ちを中心に稽古をしていました。
君が刑務所の中で服役しながら健康管理の目的で稽古をするのだったら、相手もいないし場所も狭いだろうから、基本の技と四方突き・蹴りを繰り返すだけでも、意識的にやれば目的を果たせる筈です。勿論、ストレッチや筋力が落ちないような腕立て伏せや足揚げの腹筋運動などの筋力トレーニングも必要です。
空手道教範は古い本でこれ一冊しかないので、不要になったら廃棄せずに返して下さい。特定のページのコピーがほしければ、コピーをとって差し入れてあげます。
〇〇〇〇さんに君が言ったことをメールで伝えたら、次の返事が届きました。君の昔の友人たちもご両親も、君がこれからどう生きていくかを見守り、前向きに生きてくれることを祈っている筈です。
こんにちは、〇〇です。ご連絡をありがとうございました。私のメッセージが市橋君の今後の生活の励みになるのでしたらとても嬉しく思います。市橋君の起こした行動は軽はずみでは済まないことだと思います。しかし今後の市橋君に何も支えが無い状態では自暴自棄になって何も改善されないとも思います。自分の行動を正面から見つめ、亡くなった彼女の分まで一日一日を大切に送って欲しいです。もし旧友からのメッセージが市橋君の支えになるのであれば、今後も時々近況報告を踏まえてメッセージを送ろうと思います。本山先生のように頻繁に訪ねたりメッセージを送ることは出来ないですが、心の中にはいつも市橋君が居ます、とお伝え頂けたら嬉しいです。4月11日は、私も判決をしっかり確認したいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

本状と、差し入れの支援者リストと空手道教範が無事に君の手に届くことを期待しています。前回差し入れた本間 龍氏の本は届きましたか。何か私にしてほしいことがあれば、遠慮なく言って下さい。

本山直樹
市橋達也君の適正な裁判を支援する会(代表)
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今日は、就職活動をしている博士課程の女子学生と朝10時に彼女の研究室で会って少し相談にのる約束でしたが、朝8時頃、自転車で駅に向かう途中で車との接触事故があって救急病院に行くので約束の日時を延期してほしいとの携帯電話からのメールが届きました。大事に至らなければいいがと祈っていましたら、その後軽い打撲だけで済んだとの連絡が入ったので、明日の朝会う約束をしました。日本の社会では、女子学生の博士号取得予定者の就職は非常に厳しいことはわかっていますが、学業も意欲も人間的にも優秀な学生ですので、できるだけ応援してあげたいと思っています。