2012年5月24日木曜日

胎内市役所近くのホテルで朝食後、胎内川の下方(南側)の笹口浜地内、中村浜地内、村松浜地内の薬剤散布予定松林を視察しました。多くの松林が松枯れの大被害で、まるで松の墓場のようでした。枯れた松にはマツノザイセンチュウが存在していて、マツノマダラカミキリが羽化脱出する時に体内に寄生して、マツノマダラカミキリ成虫が松の若い枝(当年枝と1年枝)をかじる時に松に侵入しますので、枯れた松は伐倒してチップにするか、焼却するか(許可されれば)、シートで覆って燻蒸(くんじょう)しなければなりません。シートで覆った松の伐倒木があまりにも多いので、墓場のような感じがしました。

胎内市と新発田(しばた)市の境に位置する海岸保安林には、中条(なかじょう)GCというゴルフ場が接していて、両方合わせるとかなりの散布面積になるということと、やはりタバコその他の畑が隣接しているということから、第2の飛散調査はこの辺りで行うことにしました。ゴルフ場のグリーンキーパーを訪ねたら、やはり先日新潟市で行われた研修会で私の講演を聞いた人で、松枯れ状況を親切に教えてくれました。ここでは、東西南北方向に4ケ所飛散の調査地点を選定しました。やはり、海岸保安林の有人ヘリコプターによる薬剤散布が中止になってから松枯れ被害が酷くなり、昨年2012年(平成23年)はなんとゴルフ場の松850本が枯れてしまったとのことでした。ゴルフ場にとって松林はなくてはならない大事な施設なので、今年からヘリコプターによるスミパインMC散布を再開するようです。

隣りの新発田市はヘリコプターによるスミパインMC散布を続けてきましたので、松枯れは最低限に抑えられていて、海岸沿いの国道113号を走ると市の境界から松林の状態が全く違うのがよくわかります。千葉県も含めて全国どこでも似たような状況ですが、保安林での松くい虫防除が不十分でマツノマダラカミキリ密度が異常に高まると、周辺地域に拡散して大被害をもたらしているようです。胎内市の場合は、新興宗教かどうかはわかりませんが、海岸の松林の中に巨大な親鸞聖人の像が立っていて、薬剤散布をさせなかったために周囲の松が松枯れで全滅し、そこが発生源となって次々と周囲に松枯れを伝搬し、被害を拡大していったようです。