2012年5月2日水曜日

支援者から届いたお便りです。私たちにはもう市橋君からの連絡がない限り、いつ、どこの刑務所に移送されて受刑するのか知ることはできませんが、支援者が郵送するお手紙が返送されてくる時が市橋君が東京拘置所からいなくなる時ではないかと思います。
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こんにちは。メールありがとうございました。昨日のブログも拝見致しました。せっかく東京拘置所まで伺い面会出来ませんでしたのは残念ですが、市橋達也さんが受刑者となった確認が出来たことは良かったです。何度も足を運んで頂き、本当にありがとうございました。
上告期間後、一週間位は未決囚の扱いと伺っていましたので、昨日は大丈夫かと思いましたが、思ったより早かったですね。彼の気持ちや受刑生活、今後の支援を考えれば様々な思いが有りますが、一つの区切りが付きました。一昨日の夕方出した手紙も、もう届かないのかも…と思い、東京拘置所に確認してみました。受刑者からの発信制限はかかるけど、東京拘置所に収監中は、受取は可能だそうです。
本間氏に、お問合せなされるとの事で、念の為に再度確認お願い致します。もしこれからメールされる場合、よろしければ二点確認して頂きたいことがあります。東京拘置所に収監されてる期間と、刑務所での手紙の受取制限についてです。収監される刑務所が決まるまで東京拘置所には、状況により異なると思いますが、通常どの位の期間か確認出来ましたら、お願い致します。刑務所に収監後、親族以外の手紙の受取は可能かネットで調べましたら、親族以外は不可や、受取には制限がないとありました。刑務所や受刑者により異なるのか?申請された方なら可能なのか?など、以前から気になっていました。(本山:受刑後に外部からの手紙の受け取りが、刑務所によって制限が異なるのかどうか、おわかりの方は教えて下さい。)市橋達也さんへの手紙は、現状からは難しそうですが、刑務所の処遇等にも関心が有りますので、お願い致します。いつか市橋達也さんから本山先生に手紙が届く日が来ることを祈ってます。

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本山先生へ いつもありがとうございます。私も3日前に市橋君にお手紙を送りました。
今後、市橋君からの発信規制はあっても、こちらからのお手紙は本人に届くのなら、これからも書きます。求刑されたとおりの刑に服するのだから、穏やかな受刑生活を邪魔するような心無い手紙は市橋君に届かないように、それこそ刑務所側で管理してほしいものですね。
この「市橋達也君の適正な裁判を支援する会」の趣旨書を改めて読み、涙が出ました。ご両親が息子さんを抱きしめてやりたい気持ちを抑え「会いにいかないけど、息子には私達の気持ちもわかると信じています」と本山先生へのお手紙に書かれていました。私達支援者も「会えなくても市橋君は、私達支援者の気持ちをわかってくれてる。」と信じます。
裁判員裁判は、ランダムに選んでるはずなのに、全員男性という信じがたい状況でした。そこに美しい遺族の姉妹が入廷し、それだけで、演劇のような仕組まれたものを感じました。アメリカの陪審員は、有罪か無罪かを決めるだけなのに、日本の裁判員はいきなり、量刑をも決めるのですから、これは、民主的であるようでいて、結局検察側の思うツボにはまりやすいシステムになってると思います。「市橋達也君の適正な裁判を支援する会」は、結果的には実を結ばず、「適正な裁判はなされなかった」と私は思います。(本山:裁判の中身が本当に事実を反映したものであったかどうかは別として、少なくとも市橋君にはきちんとした弁護団がついて裁判を適正に受けさせることができたと思っています。)それでも、この会が行ったことは大きな意味を持ち、市橋君の心の中では実を結び、彼が一生懸命受刑生活する力になった、と思います。弁護士の方々も、本当によくしてくださったと思います。その方々の今後も含めた弁護生活の中で、きっと今回の案件は特別に心に刻まれることでしょう。(本山:弁護団には弁護団で、何故弁護側の主張が認められず、目指した判決が得られなかったについての反省があるものと想像します。本山先生、これからも細々と執こく、何らかの形で市橋君の受刑生活を見守りましょう。今後ともよろしくお願いいたします。

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本間 龍氏から、支援者の質問に関して早速以下の回答が寄せられました。また、市橋君が外に連絡をしようという気持ちになるのに数年かかるかもしれないとのご指摘もありがとうございました。私も含めて、支援者は焦らずに、長いスパンで市橋君の更生を見守る必要があることを認識致しました。
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本山 先生 お世話になっております。市橋さんが控訴を望まなかったことは大変残念でした。しかしそれも彼の意志であり、こればかりは彼自身でしか決められないことでしたので、致し方のないことであったかと思います。判決確定後に面会が実現できなかった件ですが、先生も御推測の通り、恐らく今後は誰にも頼らず刑に服そう、という悲愴な決意が彼の胸の中にあるのではないかと思われます。しかし、彼の刑期は並大抵の長さではありません。今は強靱な意志で他者との接見を拒んだとしても、長い刑期の中で必ずや人恋しくなり、自分を深く知る人と話したい、と願う日が必ず来ます。その時のために、いつでも窓を開けてお待ちになって頂ければと思います。ただし、今までの様子から推測しますと、本山先生に手紙が来るのも、かなり時間を要する可能性があります。もしかすると、数年の間待たなくてはならないかもしれません。塀の中の時間の流れは外の世界に比べれば本当にゆっくりですので、彼の気持ちが前向きになるまで相当の期間がかかるからです。
今後の通信のことで支持者の方からご質問がありましたのでお答えします。
基本的に、受刑者が通信・面会できるのは受刑者がリストに載せた相手だけ(親族でなくても可)です。それ以外の方の手紙は刑務所によって若干扱いが異なりますが、きちんとした所では受刑者本人に「○○さんという人から手紙が来ているが、これはどういう人か。そしてこの手紙を読むか」と尋ねます。その際に本人が「読む」と答えれば手渡されますが、「読まない」といった場合は破棄されるか、差出人に返送されます。但し、刑務所によっては、受刑者から提出されたリストに名前の記載がない場合、受刑者本人に確認せずその時点で返送してしまう所もあるようです。ですから、市橋さんが通信者リストに名前を載せていない場合、手紙が彼の手元に届く可能性はかなり低くなると思います。また、彼の移送までの期間ですが、これは受け入れ先の刑務所の都合にもよるので、一律ではありません。今は各刑務所の過密状態もかなり緩和されているので、大体1ヶ月程度で移送されるそうですが、移送日は絶対に明かされないので、受刑者本人による報告がない限り分りません。市橋さんの場合は初犯で長期の刑なので、千葉刑務所に行かれる可能性が最も高いと思われますが、これも絶対ではありません。とにかく、早い段階で先生のもとに市橋さんからの手紙が届くことを、祈念しております。

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ある遠方の刑務所で服役している受刑者から、千葉大学本部経由で送られてきた一通の手紙が届きました。千葉大学園芸学部事務宛に送られてくる私宛の嫌がらせの手紙類は、事務でチェックして受け取りを拒否したり、返送したり、処分をしたりしてくれているので私が煩(わずら)わされることは全くありません。東京農業大学の事務宛に送られてくる同様の手紙類についても、同じように処理してくれています。今回は今までのと明らかに筆跡も違うしどうしますかと園芸学部事務から事前に問い合わせがあったので、自宅宛に転送してもらいました。
差出人は樹月(きづき)カイン(仮名)氏で、強姦罪と恐喝罪で懲役13年の刑に服しておられる方です。文藝春秋2011年(平成23年)12月号(本山:バックナンバー在庫問い合わせ先は03-3288-6225だそうです)に、手紙を送り、<性犯罪者 獄中からの手紙「私は再犯してしまう」>という題で掲載されています。同じ号に市橋君に関して私が取材を受けた記事が掲載されていたことから、私に手紙を出したいと思っていたが、4月25日に市橋君の刑が確定するのを待って書きましたとのことでした。
刑務所の印が右下に押してある便箋5枚に、丁寧な筆跡で丁重な文体で、性犯罪者の心理や刑務所内での更生の実態や、自分の経験から市橋君の更生に役に立ちたいなど、非常に重い内容の手紙でしたので、息をのみました。差出人は獄中で藁(わら)にもすがる思いで、私からの返信を待っているのでしょうが、どう対応したらよいのか私には即座には判断できません。
何回も読み直して、少し時間もおいてみて、どう対応するかよく考えてみたいと思っています。

来週木曜5月10日に新潟県で行う予定の講演の準備を始めました。私の講演を聴きに来られる方々の期待を裏切らないように、しっかり準備をするつもりです。