2012年6月10日日曜日

新潟県胎内市の村松浜地内の松林の松くい虫による被害は、まるで1960~1970年代のベトナム戦争当時の枯葉剤(Agent Orange)を散布された密林のように、骨だけになったようなマツの木が林立していました。昨年のちょうど今頃マツノマダラカミキリに後食(こうしょく)されてマツノザイセンチュウが樹体内に侵入し、秋頃に枯れたと思われる幹や枝をよく観察すると、樹皮の下に幼虫の食入痕やフラス(粉くず)が見つかります。

林床に放置されていた直径約10cm、長さ約3mの枝の食入痕の3cmくらい上を手斧で丁寧に割材してみたら、65頭以上の幼虫・蛹・成虫(大半はまだメラニン化していない蛹)が見つかりました。予想をはるかに超える大変な高密度でした。成虫は直径1cmくらいのまん丸い穴を開けて羽化脱出し、今年生長してきた当年枝か昨年生長してきた1年枝に飛んでいって後食します。
こんな小さな虫が、ヘリコプターによる薬剤散布を中止してわずか3~4年で広大な面積の松林を壊滅させるのですから、たいしたものです。
網室内で実験的に観察するのは別として、野外の自然状態でマツノマダラカミキリ成虫がマツの当年枝を実際に後食するのを目撃するのはかなり難しいのですが、村松浜では短時間に多数観察することができました。生きているマツが少なかったことが幸いしたようです。お蔭で貴重な写真が撮れました。(写真はクリックすると拡大できます)




午前中に久し振りに江戸川堤防をゆっくり6Km走ってきました。青い空に白い雲がたくさん浮いていて、何回も見上げてしまいました。遠くに筑波山の山影も見えました。途中で自転車に乗っている人に声をかけられたら、新松戸に住んでおられるある農薬会社の方で、サイクリングをしていました。昨日まで新潟県胎内市の海岸の松林の調査に行っていた話をしたら、何とその会社の主力工場は胎内市と続きの新発田(しばた)市の海岸の松林に囲まれたところにあって、会社としても必死で松くい虫防除をして松林を保全しているとのことで、偶然とはいえ驚きました。シャワーを浴びてから恐る恐る体重計に乗ってみたら、0.2Kg しか増加していませんでしたので、嬉しくなりました。新潟県滞在中は1週間全く走らずに3食をきっちり食べて、飲んで、寝るだけの不摂生な毎日でしたので、相当重くなっている筈と覚悟していました。