2012年7月3日火曜日

先日、市橋君のお父様・お母様にお借りしていたマンションの鍵を返却するとともにお手紙を差し上げましたが、今日鍵を受け取ったことの通知と、お便りをいただきました。私をはじめ弁護士の先生方や支援者の皆々様に、心より感謝し厚くお礼申し上げますと記されていました。
市橋君の収容先は確認しておらず、面会や連絡の予定もありませんとのことでした。市橋君が謝罪とつぐないの中で修養し克己することを望んでおられるとのことでした。いずれ時期がくれば、あるいは市橋君の方から会いたいという連絡がくれば、面会に行かれる時がくるかもしれませんが、当面はそうされるお考えはないとお見受けしました。

今日のYahoo ニュース http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/water_pollution/?1341311158 に、<「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業 青森(朝日新聞)>という見出しがありました。本当に水質浄化の効果があるかどうかの科学的検証なしに、学校で子供たちにEM菌の製品を川に投入させたことを問題視する記事でした。

その中の<EMを批判する意見> http://w.livedoor.jp/em_matome/d/EM%A4%F2%C8%E3%C8%BD%A4%B9%A4%EB%B0%D5%B8%AB の中の <公開シンポジウム 微生物を利用した農業資材の現状と将来 講演資料((社)日本土壌肥料学会)>http://wwwsoc.nii.ac.jp/jssspn/info/pdf5_sympo1996.pdf には、1996年8月23日に開催されたシンポジウムの内容が記録されていました。当時、考えられないくらいいろいろなことに有効と宣伝・販売されていたEM菌という微生物資材について、学会レベルできちんと科学的に検証し、少なくとも作物生産に関しては普通の堆肥以上のミラクルな効果はないという結論を出したシンポジウムです。日本土壌肥料学会の会員でなかった私はシンポジウムに参加しませんでしたが、どういう検証がされたのか詳細を知りたいと思っていました。今回シンポジウムのプロシーディングズがネット上で誰でもが読めるように再公開されましたので、あらためて目を通してみて、私自身が長年取り組んで問題提起してきた農薬疑義資材(偽装農薬)と同じように、オカルト(神秘的・超自然的)農法についてもっと国民の注意を喚起する必要があるなと感じました。
ニセ科学についは、大阪大学の菊池 誠教授が明快に解説しておられます。http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_nyumon.html

当時、EM菌で作ったボカシ(ヌカ、もみ殻、油粕、魚かす、畜鶏糞などの有機物を発酵させた肥料)を施用すると作物が強くなって農薬が不要になると宣伝されていました。実際は病害虫が発生するので、全国のEM菌農場ではいわゆる漢方農薬の類(たぐい)を使って防除していましたが、私たちの研究により漢方農薬というのは農薬が混入されている偽装農薬であることが明らかになりました。

また、EM菌で発酵させた飼料を食べさせた家畜は成育が良く、糞の悪臭もハエの発生も抑えられると宣伝されていましたが、当時そういう研究テーマに取り組んでいた私がそういう畜舎を実際に見学させてもらい、悪臭もハエもちゃんと発生していることを指摘したところ、科学的に悪臭やハエの発生が減少したことを示す研究結果があるわけではなく、EM菌を使う前に比べて相対的に発生が少なくなったと言い訳をされたのを記憶しています。